今日は礼記の雑記から紹介します。礼記の中には雑記という巻があるのです。
君子有三患。未之聞、患弗得聞也。既聞之、患弗得學也。既學之。患弗能行也。
(p.649、雜記下第二十一)
患は「憂い」と解訳されています。3つの患というのは、
何か知らなかったときに、それを知らないこと
知っているがそれだけのことで、身に付いていないこと
身に付いているのだが活かしてない、実行できないこと
この3つです。知識を持つだけではダメで、使うということが重要なのですね。このような表現を見ると、漢文がよく構造化されていることが体感できます。
君子有五恥。居其位無其言、君子恥之。有其言無其行、君子恥之。既得之而又失之、君子恥之。地有餘而民不足、君子恥之。眾寡均而倍焉、君子恥之。
(p.649、雜記下第二十一)
続いて恥について述べた個所です。ここは竹内さんの解訳を見ましょう。
その地位にいながら、ふさわしい意見を述べられないことを恥じる。意見は述べてもそれを実行することのできないのを恥じる。既に得た地位を、わが無能のゆえに、また失ってしまうことを恥じる。わが治める土地の広さに比して、集い来る人民の少ないことを恥じる。かれとわれを用いる人民の数等しくして、しかもなし遂げる事功において、われはかれの半ばにも及ばないことを恥じる。
(p.650)
最初の2つは分かりやすいでしょう。既得之而又失之について、「得」を地位を得ることと解釈していますが、ステータスとかスキルにおいても同じことが言えるでしょう。眾寡均而倍焉の所は、倍というのが面白い。2倍というのが分水嶺になっているのでしょうか。
さて、もう一つ、あまり深い意味はありませんが、祭義から。
諸侯為藉百畝、冕而青紘、躬秉耒。
(pp.714-715、祭義第二十四)
青という表現が出てきますが、青紘は冠に付ける青い紐のことのようです。この青という色が、我々がイメージしている青と同じかどうかは微妙でしょう。
礼記の中巻は今回で終わりです。