今日は礼記の中巻から紹介します。
まず「內則」から。內則はダイソクと読み、家庭内の礼儀規則のことだそうです。
子能食食、教以右手。
(p.451、內則第十二)
子供が自分で食べるようになったら右手を使うようにさせろ、という話です。何かする時に全員が右手を使うようになっていると、いろいろ効率化できるし、便利ではあります。逆に、右手を使う人と左手を使う人が同数になっていたら、どちらかに偏らない対応が可能になります。一長一短ですね。
もう一つ気になったのを紹介します。玉藻篇には礼服などの礼法が書かれているのですが、
君子狐青裘豹褎、玄綃衣以裼之。麑裘青豻褎、絞衣以裼之、羔裘豹飾、緇衣以裼之。
(p.467、玉藻第十三)
狐の青い皮衣、青犬の皮、という表現が出てきます。
青という表現は礼記には殆ど出てこないのですが、1月20日に紹介した「言語が違えば、世界も違って見えるわけ」には、ホメロスの叙事詩には青を意味する単語が全く出てこないという指摘があります。しかし礼記には少ないとはいえ出てきます。
ただ、ここに出てくるのは青空や青い海ではなく、青い皮です。青い皮というのもそれはそれで猛烈に違和感があります。青い狐というのは一体どんな色だったのでしょうか。
今日の一言的なのは、これを。
執虛如執盈、入虛如有人。
(p.532、少儀第十七)
空の器を持つにも、物の満ちているのを持つように慎重にし、人の居ない室に入るにも、人が居るように作法正しくする。
(p.533)
少儀というのは雑記のようなニュアンスのようです。空の器を持つ時は結構油断しがちですが、空だと思ったら飲み物が入っていた、という経験は何度かあります。だいたい惨事になります。
(つづく)