Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

UTFR合格体験記Ⅳ

今日は昨日に続いて UTFR が発行している合格体験記。4冊目のタイトルは「非進学校出身の東大生による、孤独に東大を目指す受験生のための 合格体験記Ⅳ」から紹介してみます。

Ⅳは、2浪で合格した人や、高専から編入した人、推薦で法学部に合格した女子など、ちょっと珍しいケースの体験談が出てきて面白いです。

東大の推薦入試はハードルが超高いので有名なのですが、推薦で合格した女子はどのような資料を提出したかというと、

英検一級、GTECのスコア、英語スピーチ全国3位、交換留学(3週間だけです)
(p.45)

さらにディスカッションが得意とのことで、具体的にどんなコツがあるかというと、

できるだけ早く試験会場に入り、部屋に入って他の受験生が入ってくるのを待っておくこと。
(p.49)

というのはまだ分かるとして、

小袋のお菓子を持っていって配ること。
(p.49)

そこまでやらないと合格できないのかと思うと、やはりハードルは超絶高いようです。

まあでもこの巻(?)でやはり面白いのは、「誰の参考にもならない合格体験記」です。この人は現役で落ちているし、1浪でも落ちて他の大学に進学しています。つまり仮面浪人で文三合格、という経歴です。

私は受験というものが嫌いです。
(p.52)

まあそうなるでしょう。1浪で落ちたときは、

正直ギリギリで受かると思っていた。だってほぼA判定だったし。全国TOP10に入ったし。
(p.52)

そう甘くない世界ということなのでしょう。少し恨みも入っているみたいです。これで東大は諦めて地方国立に進学してダンスサークルに入ったそうですが、夏休み前にサークルをやめ、その後の話。

この夏休みで所属していたダンスサークルの異常さに気づきます。何だったんだあれは、と。
(p.55)

何だったと言われても…

で、この人が本気で受験勉強をリスタートさせたのが9月。A判定全国TOP10の経験があればそこからでも間に合いますか。というほど楽でもなかったようで、戦術としては次の3つが出てきます。

①全休2日を作り出すことで完全週休4日を作り出す。
(p.58)

大学の勉強と受験勉強を完全分離したそうです。週のうち4日を受験勉強に専念するわけです。

②授業中に復習と復復習をする。

私も高校の時に似たようなことをしていました。授業の時間だけを使って授業の内容は完結する。他の時間は授業のメンテナンスはしないで、受験勉強に使う、というアイデアです。失敗すると定期テストの方が赤点になります。ていうかなりました(笑)。

③一応予定表をつくる。
(p.58)

予定表を作ってもできるわけないというのですが、でも作ったそうです。そしておおまかなスケジュールが、

10-11月 基礎がため
12月 発展・応用 数学はセンター対策も始める
1月 センター:2次 = 5:5 くらいで対策
2月 二次試験に全振り
(pp.58-59)

こんなスケジュールで間に合うような気が微塵もしないのですが。実際に間に合っているので何も言えません。具体的な作戦も面白くて、例えば数学については、

プラチカ」は紙の質と表記の仕方が好きじゃないので使わなかった。「一点でも多く」はなんか解説が謎なので本当に他でわからなかった時に使うくらい。
(p.59)

プラチカ」も「一点でも多く」も有名な参考書。東大志望の受験生の定番なのですが、しかしそういう選択理由あるんですか?

勉強する場所はスタバ。

朝10時くらいにいき、閉店まで籠っていました。ほぼ抹茶ティーラテを頼み、時々ホワイトホゥトチョコレート、キャラメルスチーマーで気分を変えていました。
(p.61)

虫歯になりませんかね。

3回目の東大挑戦の年には、初詣も行ったそうです。

元旦、湯島天満宮に初詣にいきました。真夜中に行って長い列を並び元旦の深夜にお参りしました。ただ合格したいとかそんなことは祈りませんでした。
(p.62)

何しに行ったんだろ? 世界線を変えるみたいな。

成人式も行ったそうです。

行かない理由はどこにもありませんでした。たった1日成人式に行ったところで何も変わらないからです。
(p.62)

実際は1日分学力が変わります。たった1日分ですが、変わります。まあ「何も変わらない」と殆ど変わりませんが。」

この人は、入試本番では渋谷から駒場まで歩いてるし、席に着いてからすぐにトイレに行きたいと監督に申し出ているし、とにかくいろいろ変です。そして入試本番、科目は国語。

残り10分くらいで、泣きそうな気持になりながら120文字を消したのを覚えています。何をどう頑張っても一文で書くのは不可能だと思い、ギリギリで二文に書き直しました。私は、120字論述は必ず一文で書くものだと思っており、その時の自分にとっては革命的判断だったのです。
(p.66)

珍しい革命ですが、よくその土壇場で方向転換できましたね。案外冷静だったということでしょうか。

歩きながら丸の内サディスティック neetskills remix をリピって聴いたという話も出てきます。丸の内サディスティックを聴く話は妄想娘にも出てきたと思いますが、何か東大受験生を引き寄せる要素があるのでしょうか?

そしてこの人はこんな念押しで締めくくっています。

これを読んで変な希望を持つのはやめて欲しいです。私とあなたは違います。
(p.73)

そりゃそうです。ていうか真似する人はいないと思います。


UTFR合格体験記Ⅳ
令和4年5月14日発行