Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話 (2)

今日は昨日紹介した「東大なんか入らなきゃよかった」の後半の紹介を。

第3章「東大うつ」には、死にたいという人が出てきます。読んでいて気分がダウンしていきます。一般的には、東大を出たら勝ち組というイメージだと思うのですが、

実際に東大に入っても「やりたいこと」がまったく見つからないという人も多い
(p.95)

何か目的があって入ったわけではないという時点でどこか間違っているような気がしますが、そういう人はやはり、そういうことになるようです。

この本の著者の経験談も出てくるのですが、

協賛の撤回をチラつかされながら「本の内容が気にくわない。お前の土下座が見てみたいから土下座をしてくれないか」という理不尽な要求をされた
(p.102)

壮絶な経験です。それで仕事が取れるのなら土下座なんていくらでもする、という人もいると思いますが、著者はこの理不尽さに抵抗して土下座しなかったそうです。理不尽対抗スキルは社会生活には必須なのですが、してたらどうなったのでしょうか。

第4章「東大ハード」には、月200時間超の残業という話が出てきます。

個人的には、えーと、200時間ですか、みたいな感覚です。プログラマー的には特に驚かないです。最近は違うのかな。7回読みの山口真由さんは残業300時間という話をしているし、200というはまだ余裕があるのかな、と。

キャリア官僚の生活はよく知らないのですが、

正直、定時をすぎてからが仕事の本番という感覚です。
(p.121)

何となくプログラマーと似ているような気がします。ちなみにプログラマーの残業200時間というのは取れないバグと戦う200時間だったりすると、精神が死ぬことがあります。

月の残業時間はだいたい150時間です。国会の会期中で自分の部署に関する委員会が開かれているときなどは、200時間を超えることもありますね
(p.122)

働き方改革で残業ができなくなって、残業なしで残業していた頃の仕事量をクリアするというミッションになって頓挫した、という話もあるのですが、残業200時間は流石に通常業務ではどうにもならないようです。

その後、部署が変わって残業は月100時間に減少したが、そのことで心に余裕ができ、うつ病を発症。
(p.125)

いわんこっちゃない。しかし何でそんなに忙しいのか。原因もいくつか紹介されていて、

「質問通告を故意に遅らせる野党議員がいるんです」
(p.131)

質問がうまく答えられないと国民は与党の能力がないと誤解しますからね。もうそういういやがらせ質問は全部「後でネットで回答します」でいいんじゃないか。もっとも、

今の政権与党も、野党に負けず劣らずろくでもないですけどね。
(p.137)

負けてはいないようです。これって東大卒でなくても官僚になったら誰でもそうじゃないの、と思うかもしれませんが、東大卒の官僚は優秀なので作業が集中するのだとか。

第5章「東大いじめ」には、職場でのいじめの話が。

職場にはじめて出た日、先輩に開口一番、『東大生なんやから見てたら分かるやろ』とだけ告げられてそれっきりなんです。
(p.145)

東大生はモップがけもできない、という話は有名ですね。東大生がバイトするときは、説明なしで何でもできないと駄目なのです。

さて、私の知っている東大卒の人達の8~9割は、多分皆さんがイメージしている通りのエリートコースを滞りなく進んでいるようです。あとの1~2割はどうなのかというと、簡単にいえば連絡がとれなくて何をしているか分かりません。この本に書かれているようなケースが現実的にどの程度の割合であるのかは、とりあえず謎です。

ただ、総括すると、この本に出てくる人は「東大なんか入らなきゃよかった」と本当に言いたいのかもしれませんが、じゃあ入らなかったらどうなっていたのかというと、それはそれで面白い人生になっていたような気がしないでもないす。


東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話
池田 渓 著
飛鳥新社
ISBN: 978-4864107846