Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話

今日の本は「東大なんか入らなきゃよかった」。著者の池田渓さんはもちろん東大卒。

ドラゴン桜では東大はプラチナチケット扱い、バカとブスは東大に行けというセリフが流行しました。行けばそれだけで勝ち組、みたいな印象がありますが、現実は厳しいようです。入社後に自殺するような人もいるのですから、当然、社会に出て挫折する人もいるわけです。

たかだか数年の受験勉強でクリアできる東大入試には抜群の効果を発揮した「要領の良さ」は、大学からのより専門的な学問や、社会に出てからの仕事や人間関係にはそうそう通用しない
(p.42)

要領の良さだけで合格できる所なのかな、微妙な違和感もありますが、

要領型は、何事においてもせっかちに「最短ルート」を行こうとするが、近道ばかりを選んで歩くのでは基礎体力が身に付かない。体力がないから、ますます楽な道を探そうとする。
(p.42)

何となくわかります。もしかすると著者の自己批判でしょうか?

東大生の発想がちょっと違うという話は「非進学校出身東大生が高校時代にしてたこと」を紹介した時に話題にしましたが、今回は、

あるとき、学食の同じテーブルで同じ格安380円の日替わり定食を食べていたクラスメートたちと家の話になったんだ。そしたら、A君はNECの役員の息子、B君も帝人の役員の息子、Cさんは国立大学の教授夫婦の娘だということが分かった。
(p.56)

社会的有名人の子供が同級生というのはなかなか凄い世界ですが、ちゃんと東大に入るように育てるのは流石というべきなのでしょうか。

そのような人に対して、田舎から出てきた人は肩身が狭い。だけでなく、学費免除のことを知らずにバイトしながらの学生生活を頑張ったというような話が出てきます。

存在を認識していないんだから、調べようもないよな。
(p.62)

知らないものは知らないわよ。ということですね。さらに、

学生時代に就職活動はしなかった。にわかには信じがたいことだが、就職活動というものの存在すら知らなかったのだという。
(p.63)

そこまで行くと確かに信じ難いです。ていうかこの話の本人が「情弱にもほどがある」と言っているようですが。いくら何でもそういう人は東大の中でも激レアではないでしょうか。

東大までの人、というカテゴリーがあるそうです。

『30歳までには年収1000万円欲しい』だとか『将来は経営者になりたい』といった願望だけは強いのですが、それをかなえるためにはどんな仕事に就いて、どういうふうに成功するかという具体的なビジョンがまったくもって貧困なんです。
(p.71)

知恵袋にもそういう投稿は多いですね。東大まではエリートコースで、そこから先は凡人以下、という話です。

近年、大学卒業時点でもっとも社会人として即戦力に近い実力を備えており、出世頭を務めるのは、東大でも早慶でもなく、明治大学出身で飲食アルバイトかインターンの経験のある学生だ
(p.72)

いわゆるコミュ力の差とかが原因とのことです。社会経験もモノを言ってるようです。

(つづく)


東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話
池田 渓 著
飛鳥新社
ISBN: 978-4864107846