Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙VII

今日の本は「狼と羊皮紙」の7巻。

今回はコルとミューリが印刷技術を身に付けた職人を探すストーリー。印刷技術は「本好きの下剋上」でも主要テーマになっていますが、発明された時点で社会に強烈な変化をもたらすことになります。

たとえば嘘の書かれた文章を、簡単に複製してばら撒けるのですよ
(p.91)

噂を利用しても Fake news は拡散可能ですが、スピードが違います。それに、紙になっているとなぜか説得力があります。さらにラジオ、テレビ、インターネットといった感じでインフラが変化していけば、それによって情報操作のやり方は変わっていきますが、結局、情報は操作されている、という点は常に変わらないようですね。

ストーリー的には今回は何か盛り上がりに欠けているような気もしますが、それはおいといて、今回もストーリーとは無関係なところでいくつか。

文章は人柄を映し出す
(p.110)

これはネットの投稿を見ると何となく分かりますが、例えば小中学生が書いた文章というのは何となく分かるとか、学歴が何となく想像できるとか。しかし人柄まで分かりますかね。まとめサイトのような文章は、どこを見ても同じように見えます。人柄が同じだということでしょうか。

今回の一言はこれで。

経験は必ずなにかしらの糧になるが、糧にできるかどうかは人による。
(p.256)

役に立つ情報でも、役に立てる能力がなければ意味はないのです。


新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙VII
支倉 凍砂 著
文倉 十 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4049140408