Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

狼と香辛料XVII Epilogue

今日の本は「狼と香辛料XVII Epilogue」。Epilogueと、サブストーリーが3つ収録されています。

Epilogueは、本編のクロージング。これで本編は終了です。ロレンスが誰を呼ぶか悩んでいるところはなかなか面白いのですが、ここまでの話を読んでないと分からないかも。

てな感じで、今回もいくつか気になったところを紹介。

へたに物があればこそ、旅路において迷うのである。なればこそ、人生においてしかり。
(p.18)

何も持ってないとどれを選ぶか迷わない、というのは確かにありますが。dアニメってどれを観るか、いつも迷ってしまいます。

力強く走ることができる者はたくさんいる。だが、多くの者は足をすくませている。その背中をとんと押してくれる者さえいれば、ただそれだけがあれば前に進むことができるのに。
(p.24)

崖っぷちに立っている人を押していいのかどうか。

次のセリフはコルの言葉。

「建築も神学と同じだと思います。目指すべき形があって、材料があって、それを組み立てる理屈があるわけですから」
(p.66)

コルはこの時、ロレンスを手伝いながら湯屋を建てる作業をしています。神学者のコルの手際がいいのは、建築も神学も考え方の基本パターンは同じという話なのですが、理屈という表現が面白い。

次はホロの言葉から。

わっと驚かせれば、あとの話では尾ひれ背びれがいくらでもつく。
(p.92)

得意技らしいです。情報戦です。

ホロは、楽しめる時に楽しんでおく、という主義のようです。何百年も生きていると、チャンスを逃す経験もたくさんあったのでしょう。

用心深くて未来の危険に備えて行動する人がいつも長生きするわけではなかった
(p.199)

安全になるまで待っていたら game over になってしまう的な。

今日の一言。

一度うまいものの味を知ってしまえば、同じものをもっとたくさん、今度はもっとうまいものをもっとたくさん、となるのは目に見えていたのに。
(p.242)

同じ刺激を受け続けると、感覚的な刺激は弱くなっていきます。


狼と香辛料XVII Epilogue
支倉 凍砂 著
文倉 十 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048706858