今日は萩尾望都さんの「一瞬と永遠と」。マンガではありません。挿絵すら出てきません。
モー様のエッセイを集めた本です。いろんなネタが出てきますが、手塚治虫さんのマンガのエッセイが案外多くて、やはり影響力が凄いのだな、と思い知らされました。
視点も何かヘン、いや天才的です。クックロビンといえば個人的にはパタリロのイメージなんですが。
「そんなに多くの鳥たちに殺されなければならなかったなんて、クック・ロビンてやつは一体何をしでかしたんだ?」
(p.061)
ま、確かにマザーグースは肝心な所が謎なんですよね。
ヘンではありませんが、河合隼雄さんの「青春の夢と遊び」へのエッセイでは、こんな話が出てきます。
人生相談では司会者が「ああしなさい、こうしなさい」とアドバイスと説教をくりかえしているが、心理学もカウンセリングもまったくそういうものではない。
(p.082)
最近は心理学を学ぶとメンタリストになれると信じている人が多いような気がしますね。
寺山修司さんに関しては、このような感想が。
大の男に少女感覚が読み取れるというのは、たいそうまれな才能だ
(p.106)
個人的には、つんく♂さんとか凄いと思います。個人的には萩尾望都さんのマンガはジェンダーレス感があるんですけどね。
面白いという感覚に二重性が出てくるのは、基本といえば基本なのですが。
スシリーエフの「白鳥」の、国王が実は悪魔だという二重性はおもしろい。
(p.210)
読者がこうだろうと思って先入観で接していて裏切られる、というのがやはりポイントなのです。国王なんていうと最初から善人か悪人か分かるパターンが多いと思うのですが、悪人だと思っていたら実は真の悪と戦っていたとか、そういうパターンも案外定番なのかも。吾妻ひでおさんに「実は私が宇宙人」というネタがありますが…
一瞬と永遠と
萩尾 望都 著
幻戯書房
ISBN: 978-4901998758