Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

73光年の妖怪

今日の本はSFで、フレドリック・ブラウンさんの「73光年の妖怪」。

地球から73光年離れた星から謎の生命体がやってきていろんな動物に憑依していく。精神支配? 系のSFです。先日紹介した萩尾望都さんの本に出てきたのですが、読んでなかったので図書館で借りて読んでみました。

謎の生命体が地球にやってきて動物を精神支配していきます。ルールとしては、一度に一匹の動物にしか憑依できない、寝た状態でないと乗っとれない。死なないと憑依した動物から離脱できない。という割と単純なものですが、シンプルなだけに面白い。

次のターゲットに乗り移るためには、憑依した動物をコントロールして自殺するのですが、動物が自殺することに違和感をもったスタートン教授と生命体の最後の闘いはかなりの緊張感があります。

英語教師のタリーもいい味を出しています。1961年の作品。もちろんスマホどころかパソコンもありません。ちなみに IBM の System/360がリリースされたのが1964年です。タリーは速記とタイプのスキルを持っているので、教授の言ったことを文書化してタイプで清書するのですが、今だとICレコーダーで録音して自動的にテキストに変換するアプリを使うところでしょうか。インターネットがない時代なので、大量の情報を伝達するためにはタイプライターを使って清書するか、テープに録音して郵送するしかありません。

あまり書くとネタバレしそうなので、今日はこの一言で閉めておきましょう。

知識というものはいくら仕入れても多すぎるということはない。
(p.123)


73光年の妖怪 (1963年)
フレドリック・ブラウン
井上 一夫 翻訳
創元推理文庫
ISBN なし