Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

雑記

今日は一冊読み終えて書評も書きかけたのですが、ちょっと調整が難航しているので明日に見送りたいと思います。それにしても立憲民主党とはすごい名前ですね、ネーミングはプロに頼んでいるのでしょうか。書きやすい党名にするだけで得票数が跳ね上がるはずなのですが。ラジオでは戦前みたいな名前と評されていました。

「ありが党」とか「おめで党」の方がまだいいような気がします。リベラルを代表する党を作るべきという意見があるそうですが、それならリベラリス党とか。

雑記

今日こそ本を読んでないような気がする。今日から10月ということで、10月の本を紹介してみます。「10月はたそがれの国」。

レイ・ブラッドベリの短編集。このあたりの作品は高三のときに勉強の合間に英語で読んでいました。確かZ会の英語の問題に出題されたような記憶もあります「みずうみ」という作品は萩尾望都さんのマンガを読んだときに、あまりに原作通りでびっくりしました。微妙にブラックな雰囲気がなかなかいい感じなのです。

 

文学効能事典 あなたの悩みに効く小説

この本は、症状ごとにどんな本を読めばいいか紹介してくれる処方箋集です。

症状というとイメージし辛いですが、例えば「自分の鼻が嫌いなとき」とか「結婚相手をまちがえたとき」のような、かなり意表をついた症状にも対応しています。処方となっている紹介文が秀逸で、読んでいると何かこのブログが到達し得ないような別世界みたいに見えてきますな。

例えば「インフルエンザにかかったとき」に処方してくれるののはクリスティ。何故に?

痛み、悪寒、発熱、咽頭痛、鼻水――これらの症状は、ポワロより早く犯人をみつけようという意欲にくらべれば、物の数ではない。
(p.41)

そんなものかな? 余計頭が痛くなりそうな気も。

「お茶がほしくてたまらないとき」で処方してくれるのはダグラス・アダムス著「宇宙の果てのレストラン」。

栄養飲料自動合成機という古典SFっぽいメカが出てきます。マシンというよりメカって感じですよね。アーサーは紅茶が欲しいのですが。

アーサーはその飲み物を6杯続けて捨てたすえに、自分が紅茶に関して知っていることをすべて――東インド会社の歴史から銀のティーポットから、ミルクを最初に入れることの重要性まで――を必死になってその機械に教える。
(p.51)

そうやってあらゆる情報を与えたときにメカは本物の紅茶を作ることができるのか、AI的な意味で興味がありますね。

待合室にいるときに読むといいのは、なぜかアルフレッド・ベスターの「虎よ! 虎よ!」。

説明しなくても皆さんご存知の禁断のジョウント。あずまひでお先生は青色申告のときに使っていたようですが。とはいっても逃げ出せという話ではなくて、

この小説を待合室で読めば、そこがガリーの閉じ込められていたロッカーほど狭くないことがありがたく思えるだろう。
(p.345)

そこかよ、みたいな。

部外者のときに処方されるピーター・ケアリー著「オスカーとルシンダ」も面白そうですね。

オスカー・ホプキンズは根っからの部外者で、部外者には立ち入れない世界が存在することすら知らない。
(pp.307~308)

何でも知っているという人は、多分自分が知らないことがあることを知りません。何でもは知らないわよ、知ってることだけ。部外者禁だけじゃなくて、幹部社員しか知らない会議室とかありますよね。

こんな感じでいろんな本が紹介されています。何をよんだらいいか分からないとき、というケースは見当たらないのですが、「10代のとき」から「100歳になったとき」まで10歳刻みにあるので、そのあたりを参考にすればいいかも。最後にちょっと気に入った言葉を。これは、頭がよすぎるときに処方されているサリンジャーの「フラニーとズーイ」の話から。

凡庸な人間にとってもっともいやなのは、自分の凡庸さを思い知らされることだ。
(p.25)


文学効能事典 あなたの悩みに効く小説
エラ・バーサド、スーザン・エルダキン 著
金原瑞人、石田文子 訳
フィルムアート社
ISBN:9784845916207

雑記

いや今日はジタバタしてたから本当に本を読んでないですよ、珍しい。読もうと思っていた本はあるから、これから読むかもしれません。

大学入試の問題で、作者は何を言いたいのか、みたいな問題が出るでしょ。あれは作者の意図を尋ねているのではなくて、書いてある日本語をそのまま解釈したらどうなるかを問うている。だから、作者の意図したことと違う解答が正解になることがあります。そのあたりを理解していないと、「入試問題は作者に意図を確認して出題しているのか」みたいな質問が出てくる。今日も知恵袋で見かけました。

そもそも作者がどう思っていようが、読者には勝手に解釈する権利があります。どう理解するのも曲解するのも自由。作者がこういう意図だと主張しても無視して差し支えない。

とはいっても、日本語には日本語としてのルールがあるから、それを絶対的に無視してしまうとわけが分からなくなる。入試問題の読解というのは、その基本的な解釈ができるかを試しているのですね。それを知らないと自分でいろいろ想像して間違えてしまう。

書評というのはそういう縛りはないから、自分で勝手に想像して構わない、そういうつもりでいつも書いています。だから、ロジカルでない評や、そんなのどこにも書いてないだろ、みたいな話も出てきます。

 

学生街の殺人

ということでようやく書評にはいります。学生街の殺人。推理小説です。

主人公の光平、どことなくニヒルな感じです。夢がない大学生とか、今時のトレンドなのでしょうか。この光平が3つの殺人の第一発見者になってしまいます。3つ目は第一というか共同発見者ですが。微妙な立ち位置で、普通なら逮捕されてもおかしくないのですが、ヘンな刑事とビリヤードと勝負して何か信用されて、結果的に犯人探しに協力することになります。

ところどころに、妙にリアルな言葉が出てきます。

意欲のない学生に学問を教えるというのは、ザルで水をすくおうとするよりも、ずっとむなしい作業なんだ
(pp.40-41)

これは助教授のお言葉。今だと准教授ですか。「ザルで水」という比喩は、何となくありきたりな気もしますが、意欲のない学生に教えるという状況があまりにリアルなので、そこに違和感がありません。これならまだ人工知能を教育した方がマシな感じ。光平は意欲のない学生側なのですが、多分。

これも何となく気になった言葉。

商売とは割りきることだ
(p.91)

これだけじゃよく分かりませんが、何か哲学のようなものを感じますね。

あるいは、本屋の親父が店番をしています。一人で滅入らないのかと聞かれて、

「慣れるんだ」
(p.137)

面白い。これも分かります。本屋の親父なんてのは私の理想の職業なんですけどね。一日中本を読んでいられる。売れなくて大変らしいですが。万引きとかも。世の中が電子化されてしまえば紙の本を買うのはマニアだけになって、何か違う世界になるかもしれません。こんな感じで、地味に奥が深い言葉が出てくるのがいい。

雑記のときにも話題にしましたが、ハッカーは悪者として描かれています。

「コンピュータ・ゲリラのことだね」と光平は説明した。「よそのコンピュータ・ネットワークに電話回線などを通じて進入するもののこと、といえばわかるかな」
(p.150)

それは正式【謎】にはクラッカーというのです。クラッシャーです。ハッカーというのは単に腕利き職人のことなんですが。最近はそういうのはホワイトハッカーと言うそうです。

自信をなくしたという光平に対して、医者の斎藤さんのお言葉。

君はまだ何も得ていないし、何も失っていないじゃないか。自信をなくす必要なんてどこにもない
(p.324)

確かに失うためにはまず得る必要がありますね。

もし彼のいっていることが事実なら、自分が失ったと思いこんでいるものは何なんだろう?
(p.324)

時間じゃないですかね。

このストーリーには、エキスパートシステムの話が出てきます。小説が書かれたのは 1987年。私がエキスパートシステムの勉強をしていたのは1990年頃かな。小説の中に出てくる説明だけでは少し分かりにくいと思いますが、ストーリー中では最先端テクノロジーということだけ理解していれば犯人探しには問題ありません。

光平の父親が最後の方に出てきますので、紹介して今回は終了。

どんな人間でも、一種類の人生しか経験することはできん。一種類しか知らんわけだ。それなのに他の人間の生き方をとやかくいうことは、傲慢というもんだ
(p.405)

経験していないことを言ったら傲慢になるのか、という所にはちょっとひっかかりますが。


学生街の殺人
東野圭吾
講談社文庫
ISBN: 978-4061847217

雑記

今日読み終わったのですが、まだ評が書けていないので、「学生街の殺人」の評は明日以降に。

雑記として映画をいくつか紹介しましたが、小説の中ではビリヤードで勝負をした後に、こんなセリフが出てきます。

ポール・ニューマンを見ているみたいだった
(p.250)

これはもちろん「ハスラー」の話ですね。もう少し読めば出てきたのか。とはいっても「ハスラー」という言葉は出てこなかったと思います。この小説、何かいろいろ映画を見ている前提で書かれていますかね。

「俺が花嫁をさらっていったところまでは知ってるよな?」
ダスティン・ホフマンみたいに」
(p.470)

これは「卒業」。ストーリーと何か関係あるのかな。

うっかり「人間の証明」を出してしまったのは何か失敗感があります。私はすぐに「人間の証明」最初のシーンを思い出してしまったので、エレベーターの殺人事件の犯行現場がエレベーターではない、という先入観を持ってしまったのです。そんなことが頭にあるとその後の読み方が随分変わります。まあそういうのは仕方ないですが。


学生街の殺人
東野圭吾
講談社文庫
ISBN: 978-4061847217

雑記

今日もいろいろ予定があって本を読む暇なんかなかったです、といいつつ「学生街の殺人」、220ページまで読みました。ちなみに最後のページは475のようです。

途中、エレベーターの中に死体があるシーン。「人間の証明」を思い出しました。これもいい映画ですよね、松田優作さんが渋いです。そういえばこの小説はビリヤードが出てくるのですが、ハスラーという映画がありましたね。ハスラー2も観たような気がします。

この小説には、ハッカーの説明がでてくる場面があるのですが、ハッカーが悪者みたいな言い方ですね。ハッカーというのは本来「コンピュータのスゴい人」という意味で、悪い人ではないのですが、どこかで悪者のイメージが広まってしまい、真の意味を知る人達は猛反発したのですが、どうにもなりませんでしたね。最近はホワイトハッカーという表現もありますが、これっていい落しどころかもしれません。プログラミングを極めていくと暗黒面とか出てきそうなのがリアルで、スターウォーズっぽいのもいい。