Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

脳のなかの幽霊、ふたたび

今日紹介する本は「脳のなかの幽霊、ふたたび」。

この本、「脳のなかの幽霊」の続編なのですが、「脳のなかの幽霊」をまだ紹介していなかったような気が。雑記の中でちょっとだけ紹介していますが、「ふたたび」を先に紹介しちゃいます。

内容は、ざっくりいえば人間の画像認識能力はそう単純なものではない、という話です。見えるはずのないものが見えたりするのは何故か。単純に目の錯覚とか幻覚といわれているものが、脳の部位に損傷のある人の観察から分かってくる、そんなネタが紹介され考察されていきます。

個人的には、最近、霊体が目の前を横切るのを見たことがあるのですが、これは単純に本当に霊体が目前にいたのだという解釈もできるわけですが、そうではなく、目の前に何かが横切ったという所までは事実で、それを脳が何かの理由で誤解して霊体だと認識してしまった、というような解釈もできるわけです。そもそも何かが横切ったという所から妄想だという解釈も可能です。ていうか、なぜそれが霊体だと分かったのかという点が一番難しいのかもしれませんが。

本の中にはいろんな症例が出てくるのですが、

さて、カプグラよりもさらに奇怪な障害があります。それはコタール症候群というもので、この患者は、自分は死んでいると言いはじめます。
(p.129)

私は既に死んでいる。死んでいるのになぜ話せるのか、という所はひとまずスルーしましょう。

次のエピソードは、ちょっともやっとするのですが。

赤ちゃんに向かって舌を突き出して見せると、赤ちゃんも舌を突き出して、自分と他者の間にある境界を、あの専制的な障壁を、感動的に消滅させます。これをするためには、赤ちゃんは、自分の脳のなかにあなたの行為の内部モデルをつくり、それを再現しなくてはなりません。自分の舌を見ることさえできず、あなたの舌の視覚的外観と、感覚で感じる自分の舌の位置をあわせなくてはならないことを考えると、これは実に驚くべき能力です。
(p.149)

単にミルクを欲しがっているだけのような気もするのですが…。

今日の一言はこんなものでいかがでしょう。

世の中には、人を不快にするのを仕事にしている人もいる
(p.6)

 

脳のなかの幽霊、ふたたび
V・S・ラマチャンドラン 著、
山下 篤子 翻訳、
角川文庫
ISBN: 978-4042982166