Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙

今日の本は「新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙」の1巻。狼と香辛料に出てきたコルとミューリの物語です。

ロレンスとコルはノウハウを持っている商人と知恵を持っている狼という組み合わせでしたが、コルは勉強はできるが実践がやや足りないタイプ、ミューリは経験が足りない、というとんでもないペアなので先が思いやられますが、この巻を読んだ感じでは、ミューリが意外と世間慣れした考え方をしているようです。例えば、

人は善意の塊じゃない。
(p.183)

コルは聖職者だけに人間が善意で行動すると考えがちですが、実際の人間は、自分の利益を最適にするような行動をするわけです。このような知恵はどこで身に付けたのか謎。

コルはといえば、こんな感じ。

地理には多少詳しい自信があったが、世の中は大きく動いている。自分の記憶は過去のものと思った方がよさそうだ。
(p.57)

以前、ロレンス達と危険な旅をしているので、それなりの経験はあるのですが。ニョッヒラにいるうちに世界が変わってしまいました。そういえばコロナが流行してから、ここにあったはずの店がない、ということが多くなったような気が。

次のセリフは今回出てくるキャラのハイランドの言葉。

周りからどう見られるかは、意外と言った者勝ちなのだよ
(p.147)

ハイランドは王族の血を引いている貴族です。最後にはちょっとサプライズもあります。私は〇〇だ、とアピールすれば実際そうなるみたいなことか。情報戦というのはコワいのです。

今日の一言はこれで。

「時には曲がるからこそ、そこに魚が住めるということもある」
(p.32)

川の話です。川が一直線だと魚が住むには厳しい環境になってしまうのです。


新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙
支倉凍砂
文倉十 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048923569