Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

狼と香辛料 (3)

今日の本は「狼と香辛料 (3)」。アニメでは「狼と香辛料II」の前半で放送された話です。

クライマックスは黄鉄鉱の相場勝負のシーン。情報を流して相場を変えるという技も出てきますが、現実世界でやれば証券取引法違反で逮捕されそうです。でもやってそうですね。昔から相場というのは身を亡ぼす基本技のように言われていますが、

自分にも利益を得る機会があるとわかればこそ、そこに張り付くのだ。
(p.287)

わずかなチャンスに賭けて自滅するのなら、どんなに少ない可能性でも挑戦するのがギャンブラーなのです。いやいや、プロは確率的に勝てないとダメだろ、という意見はあると思いますが、それはもうギャンブラーではなくビジネスマンみたいなものです。

「必要な情報というものは、大抵いらなくなってから来るものだ」
(p.77)

これは以前のストーリーで武具が暴落した件のことを言ってますが、実際は、必要な情報が間に合わなかった場合に特に強く印象に残るため忘れない、ということが多いのでしょう。情報を活かせていることも結構あるわけで、つまり情報が必要な時にもたくさん集まっているのです。

いくつか気に入った表現を。

昔話や言い伝えは、自分には絶対に経験ができなかったことを知ることができるという素晴らしいものだ。
(pp.93-94)

読書は経験なしで経験値を上げることができるチート技なのです。

「愛は金で買えないと詩人は言い、金より大切なものがこの世には存在すると説教師が言う。ならば、金を稼ぐことすらこんなにも苦労するというのに、どうしてそれよりも大切なものが我々の手の中に入るのだろうか」
(pp.269-270)

一見面白い理論ですが、重要なものほど手に入れるのが難しいとは限りませんよ。

絶望とは、初めから望みがないことではない。
(p.306)

希望がある所から落ちないと絶望にならない、という話です。欲しいと思っていないものが手に入らなくても別に困ったとは思いませんよね。最初に欲しいと思うプロセスが必要なのです。


狼と香辛料 (3)
支倉 凍砂 著
電撃文庫
ISBN: 978-4048694179