今日の本は「狼と香辛料」。私はアニメを先に観て、ラノベは後からというパターンになりました。
第1巻は狼の姿をした豊穣の神様「ホロ」と、商人「ロレンス」が出会うところから、地下を逃げ回るところまで。アニメ化されています。ちょっとツメの甘いロレンスと、とぼけた感じのホロの掛け合いが面白いです。ちなみに小説の題名に出てくる狼はホロ、香辛料はロレンスのことだそうです。
この巻はホロがいろいろ教訓的なセリフをいいます。
嘘をつく時、大事なのはその嘘の内容ではなく、なぜ嘘をつくかというその状況じゃ
(p.91)
ホロの言い回しはこんな感じで、ちょっと花魁のような表現が入っています。見た目は若い娘ですが、実は数百歳、というのは化物語のキスショットみたいな感じ。
だまされた時に怒っているようじゃ話になりんせん。そんな方法もあるのかと感心してこそ一人前じゃ
(p.134)
リンゴの香りが移った毛皮にウソの付加価値を与えて高値で買わせたエピソード。騙された方が悪いというのはあんまりかもしれませんが、現実はそういうものなのでしょう。特にネットは騙そうとする人がわんさかいますから、その前提で付き合わない方が悪いという考え方は現実的なのです。
この物語、全体的に騙したり騙されたりの駆け引きがメインの見どころ(読みどころ?)です。時には命を狙われたりもします。
秘密を知る者は少ないほうがよいじゃろう。
(p.162)
このシーン、ホロは貨幣の質が違うことを音で聞き分けたのですが、分からないと嘘をつきます。そのことを言っています。手の内を全て見せる必要はないのです。
さて、ちょっと長いですが、
木が一本枯れるところを見れば、それだけを見れば森にとって害のような気もするが、森全体から見ればその木が栄養になって他の木がよく育つのじゃから森のためになる。目の前のできごとが別の視点から見ればひっくり変えることはよくあること。
(p.169)
善悪は表裏一体、みたいな感じですね。ホロは賢狼という設定なので、判断力は超絶優れています。人を見る目も確かです。ワールドトリガーの空閑(くが)は嘘を見抜くサイドエフェクト(スキル)を持っていますが、このスキルがあると現実世界ではかなり便利そうです。ただ、見方によっては何が真実か分からなくなってしまうこともあります。あるいは、全て正しいということに。