Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

青の数学

青春数学バトル【謎】です。リアルに難しい問題がたくさん出てきて楽しいです。 といいつつ、実は最初に読んだとき、これが解けませんでした。

1 11 12 1121 122111 112113 12212131 11221121113111 12221221133113
(p.16)

むぅ。分からない。これなら分かるのだが。

1 11 12 1121 122111 112213 12221131 1123123111 12213111213113

どうすれば 112113 が出てくるのだろう? ギブアップして、ググってみたら、誤植だそうです(笑)。 そういうのやめてー。 ちなみに、五刷では直っていました。何刷で直ったんだろ?

【honto 電子書籍】 青の数学 (王城夕紀)

ちなみに、こういう問題は大学で情報やっていたら多分誰でも解けます。ハフマンとかLZとか習えば、考え方は割と基本です。 この問題、クイズでも有名らしいので、知ってる人は解けます。そりゃそうか。

なぜ解けないか分かるのなら、その問題は解けているはず。
(p.54)

そういわれても、まあ確かに誤植で解けないなんてのは、既に解いている扱いなのかも。

大学で代数学の最初の授業のときに、お前らがやってきたのは算数で、ここからが数学だ、みたいなことを言われたような気がします。 あれ、もしかして高校のときだったかな。 あやふやになってきましたが、

「大学にあがってもしお前が数学を続けるのなら、そのとき、本当の数学が始まる。それは新しいルールを開拓するゲームだ」
(p.56)

似たようなことが書いてありますね。数学科あるあるかもしれません。私は数学科じゃないですけど。 ということで、この本は、数学が分かる人、できる人でないとあまりおすすめしません。 Amazon のレビューには、専門的な知識がなくても読めると書いてあります。確かにその通りですが、読めても理解できないところがたくさんあるはずです。

ひとつの問題を読むと、三冊で覚えた別の問題が頭に浮かんでくる。そうしようと思ったわけでもないのに、なぜだろうと思った矢先に、似ていると誰かが囁く。
(p.81)

この囁くという感覚が、個人的にはよく分かります。遠くから離れて見て気付くような感覚です。三冊というのは、主人公の少年、栢山くんが、十河という男に問題集を3冊渡されて、全部完璧に暗記しろと言われたのです。これを全部解法暗記したら、他の問題も解けるようになったという、ありふれた話です。似ている問題だというのは、どうやって気付くのか、そこは deep learning の世界です。

「なぜこの数字が自然界にこんなに現れるのか。大変面白い問いだが、危険な問いでもある。問い方が間違っている問いかもしれない」
(p.174)

これはフィボナッチ数列の話です。フィボナッチは数学の面白本には大抵出てきます。子供向けの本にも出てきますが、恐ろしく深い意味があるのでうっかりするとハマります。 他にも、ギリシアの三大難問の話とか、ガロアの話とか、数学が得意な人なら他の本で読んだことのあるような常識的な話がたくさん出てくるので、そちらに興味があれば完璧にハマります。

その解き方は、あまり美しくない。
p.216

この意味が理解できるのなら大丈夫です。おすすめできる本です。

青の数学
王城 夕紀 著
新潮文庫
ISBN: 978-4101800721