Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

「%」が分からない大学生 日本の数学教育の致命的欠陥

今日の本は芳沢光雄さんの「「%」が分からない大学生」。

先日紹介した「勉強できる子は○○がすごい」の中にこの本の話が出てきたので、とりあえず内容を確認しておこうと思って読んでみたら、最初からちょっと驚きました。

憂慮すべき点は、その種の問題で信じられない誤答を書く学生に限って、「は・じ・き」と「く・も・わ」について前述の図が描かれているということだった。
(p.22)

その種の問題というのは%の計算のことですが、それはそうとして、個人的には「は・じ・き」も「く・も・わ」も習った記憶がありません。

「は・じ・き」は「速さ、時間、距離」のこと。「く・も・わ」は「比べられる量、元にする量、割合」、だそうです。もちろん、速さ×時間=距離、ということは習っていますが、「は・じ・き」と習った記憶はないのです。

ここで気になるのが順序。「は・じ・き」に関しては「は×じ=き」の関係ですが、「く・も・わ」の場合は成立する関係が「も×わ=く」、つまり順番が違います。なぜ「も・わ・く」ではなく「く・も・わ」の順にしたのでしょうか。

それはさておき、途中に出てくるこのエピソードが面白いです。

幼稚園に入園するかどうかの年頃の男の子を連れて散歩している母親は、消防車を面白そうに観察している子どもが納得するまで寄り添っていた。
(p.131)

1時間以上見ていたというのですが、母親も大変です。子どもってだいたい消防車が好きなようですが、何故なのでしょうか。複雑な形状が面白いのかもしれませんが。この子どもの後日談があって、

その子どもは考えることが好きな人間として成長し、計算機をほとんど独学で学び、その方面で斬新な仕事をしている
(p.132)

消防車から計算機に進化するところが面白いです。子供に好きなだけ考えさせることで思考力が強化されていった、ということなのでしょう。

もう一つ面白いと思ったのが、

「夢の中で名案が浮かんで問題解決の手がかりになった」「ずっと考えていた問題が朝起きたら偶然に布団の中で解けた」というようなことが、数学ばかりでなく広い分野でしばしば起こる
(p.135)

芳沢さんはベッドの隣のテーブルにメモとペンを置いてあるのだそうです。

実は私も面白い夢を見たときにメモして残すように心がけているのですが、先日書いたメモが、

お菓子、ムクムク、粉塵爆発、丸焼き

こんな内容です。どんな夢だったのかさっぱり思い出せません(笑)。


「%」が分からない大学生 日本の数学教育の致命的欠陥
芳沢光雄 著
光文社新書
ISBN: 978-4334044077