Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

ネットの約束 今から知っておきたいルールとマナー

今日の本は「ネットの約束 今から知っておきたいルールとマナー」。

小中学生向けのネットリテラシー本です。部分的にマンガを使って読みやすく作られています。全体的な流れはいいと思いますが、今回はちょっと気になった所を突っ込んでみます(笑)。

第一章はITの基本知識です。

あらゆるデータは、「0」と「1」という数字になって送受信される
(p.021)
「0」と「1」という数字を使って
(p.021)

数字ではありません。数です。こういう所はちゃんと書いて欲しいものです。

第二章はリテラシー

インターネット上にある情報が全て正しいとは限りません。インターネットには誰でもアクセスできるので、わざと嘘の情報を流す人もいて、本当だと信じた人がその情報を拡散してしまうこともあります。
(p.054)

正しいとは限らないというのは、インターネットに限定しなくてもいえるはずです。次のページに年齢別のデータが出ています。

不確かな情報を全く信じなかった人は、全体でも2割ほどしかいませんでした。
(p.055)

一番疑い深かったのは40~49歳の年齢帯で、25.8%でした。それでも4人に3人は不確かな情報を信じてしまうわけです。

個人的には、ネットに出ている情報は原則的に全て信用しないというのが正しい態度だと思います。マスコミが提供するニュースでさえ誤報がたくさんあるのです。

著作権侵害の話も出てきます。

違法サイトによって作品が無料で公開されると、制作者は得られるはずの報酬が得られず大きな損をしてしまいます。そのせいで、新しい作品の制作が難しくなってしまう可能性もあるのです。
(p.062)

可能性があるということは否定しませんが、「可能性もある」というような曖昧な書き方をするのはよくないでしょう。ちゃんと実際の被害の事例や金額を示すべきでしょう。

ところで、不思議なことに、実際に違法コピーのせいで生活できなくなったという音楽家や小説家、漫画家を見たことがありません。皆死んでしまったのかもしれません。

いずれにしても、ステマ等も含めて、インターネットの宣伝効果について全く触れないというのは不自然な気がします。

次に、最近オリンピックの話題で誹謗中傷コメントが問題になっているようですが、

どこかで本人の目に触れる可能性もあります。
(p.075)

本人が見るかもしれないから誹謗中傷してはいけない、という考え方は根本的なところがおかしいです。本人の目に触れなくてもしてはいけないことはいけないはずです。また、インターネットで情報公開するときは、本人の目に触れることを前提とすべきでしょう。

安易に画像を公開すると個人が特定される、という警告も出てきます。

制服のごく一部から通っている学校が特定されて
(p.089)

画像をupしたら学校どころか自宅が特定される、程度の認識でいた方がいいと思います。

自宅や学校の周辺はもちろん、よく使う駅、お店などが写らないように気をつけましょう。
(pp.094-095)

具体的に写ると危ない例が生々しいです。

写真の中に写っている電柱、信号機、マンホール、車のナンバー、お店の名前、建物
(p.095)

こういうのは自動的にカットするようなAIアプリがあるといいような気もします。しかし、サーバーで処理する場合、こっそり個人情報を集められるリスクもあるので、ちょっと難しいかも。

SNS を使う時の心構えに関して、

SNSを利用する最低限のルールとして、絶対に守らなければいけないのは、「相手がどう思うかを考えて書き込みをする」ということ。
(p.100)

何がいいたいのかよく分からないのですが、これだと故意に相手を怒らせる文章を書いてもいいことになります。ていうか、ちなみにこの文章を書いた人は読む人がどう思うか考えて書いているのでしょうか?

常識的に、能力者でない限り、相手がどう思うかなど分かるわけがありません。だから、どんな場面であれ、相手がどう思うかを自分の考えられる範囲で勝手に思い込んで書くことになりますが、それでいいというのなら、まあ間違いではないでしょう。これは後日紹介したい「本題」という本にも出てくるネタなので、その時にもっと突っ込んで書く予定です。

それに、twitter のような不特定多数が参照できる SNS の場合、最も優先すべきことは、「相手がどう思うか」ではなく「不特定多数の人がどう思うか」のはずです。

仲間だけが参加しているのなら「できると思う?」「できるよ」という会話が最適でも、不特定多数が見ているサービスで、できないことを「できる」と書いてしまうと、嘘の情報を本気にした被害者が発生する危険があります。

ということで、次のツッコミは偽サイトの見分け方ですが、

アドレスが「https://」で始まっているか、アドレスバーの冒頭に「鍵マーク」が付いているか
(p.125)

見分け方としては基本ですが、本当にそれで見分けられるか、若干気になりました。

課金ネタも出てきます。

子どもが勝手に数十万円も課金して、後になって発覚する
(p.131)

これは流石に超レアケースだと思いたいですが、実は何万件も発生しているのでしょうか?

RMT の話が少し出てきます

実際のお金でやりとりするRMT(リアルマネートレード)という行為も行われていますが、もちろんゲーム運営会社の利用規約で禁止されており、チート行為と同じようにアカウント停止になります。
(p.133)

その通りですが、なぜRMTがいけないのか、利用規約で禁止するのかという理由が書いてありません。そこを説明しないといけません。

お金だけを受け取りアイテムや通貨は渡さないという詐欺も多く、とても危険
(p.133)

アイテムや通貨だけ受け取って金を払わないという逆パターンもあります。


ネットの約束 今から知っておきたいルールとマナー
日経BPコンサルティング情報セキュリティ研究会 著
NTT東日本 経営企画部 営業戦略推進室 監修
日経BPコンサルティング
ISBN: 978-4864431378