Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

2017年度 医学部合格の必勝方程式

今日は「2017年度 医学部合格の必勝方程式」、いわゆる受験本。2018年度バージョンもあるらしいが、手元にあるのがたまたま2017年度なので、そちらで紹介する。

内容としては特に目新しいところはない。ものすごく当たり前のことしか出てこない。例えば、

早い時期に過去問を解いてみて、出題形式・内容・難易度・問題量などを把握し、それに合わせて学習課題を決めることが、限られた時間で合格点をクリアするために必須となります。
(p.67)
英語の勉強は単に英語力だけを磨けばいいかといえば、そうではありません。読み取った内容を的確に表現する、きちんとした日本語で解答するという意味で、国語力も必要となる科目です。
(p.72)
皆さんの目標は「医学部に合格すること」です。すべての科目で高得点を取ることでも、分からない教科をなくすことでも、全教科満点を目指すことでもありません。得点が高い科目、低い科目、すべて合計して合格最低点を突破していれば良いのです。
(p.116)
勉強中に眠くなった場合は無理をせず、10~15分程度の仮眠をします。寝過ぎると生活リズムが狂ってしまいますが、10~15分程度の仮眠は脳をリフレッシュさせ、その後の集中力を高めてくれます。
(p.121)
学校の授業は基礎。基礎が抜けていたのでは、応用問題に発展したときにつまずいてしまいます。
(p.127)

こんな感じ。ちょっと違和感があったのは、

問題集はその問題が解けるようになるためにやるのではなく、問題の解き方を理解するため、解説を理解するためにやるもの
(p.136)

私見としては、前半はある程度同意できる。問題集は、その問題を解けるようにするのが目的ではない。むしろ、そこにない問題を解けるようにするために、やるのだ。

では、それは何か。もっと具体的にいえば、問題を解くスキルを上げるためにやるのである。スポーツでいえば練習試合のようなもので、練習試合をたくさんやっておかないと、本番の試合では勝てない。つまり、私の感覚では、問題集は理解ではなく体で解き方を覚えて実戦力をupする、というのが目的だ。

事例として出てくる話は、いろいろ経験している人のようで、なかなか面白い。

私の生徒の中に、いろいろな予備校を6年間転々とし、7年目に私のもとで頑張って医学部に合格した人がいましたが、その生徒のすごいところは、苦しい状況の中で自分を信じ続けられたことです。何年もE判定が続いても「合格できる」と思っていたからこそ合格できたのです。
(p.28)

それは雨乞いの法則といって、できるまでやり続ければ、必ずできるものなのだ。トートロジーみたいなものだ。しかし、これだけでは、たまたま合格する7年目に塾に入ってきたのか、それとも、この塾で特別な能力に目覚めたのか、そこは分からない。ちょっと気になる。

この話も興味深い。

五年前の夏、ある男子生徒が「5月のマーク模試で59%(530点)しか取れなかった」と言って、私の元にやってきました。ところが、「現役で医学部に行きたい」と言うのです。
(p.103)

普通有り得ないような成績。ただし、生徒は数学だけできるタイプ。これは理系で習得に時間がかかる数学はクリアしているという意味でアドバンテージだったが、いかんせん他がいかん。そこでセンター対策に集中して本番のセンター試験は84%をクリア。英数で勝負できる秋田大学を受験させて合格、という実話とのことだ。この話で言いたいのは、

英語担当の講師と彼の点の取り方や性格を考え、秋田大学なら苦手な英語もそこそこの点が取れるだろうと判断
(p.104)

大学選択が重要ということ。それは言えそうだ。単に偏差値で判断してもダメというのは、ビリギャルの話でも相性という言葉が出てきたと思う。話は単純ではないのだ。

内容は定番、鉄板の勉強法ばかりなので、読んでも損することはないと思うが、ただ、今まで紹介してきた受験本を読んだことのある人なら、特に新たに得られる内容はないだろう。


2017年度 医学部合格の必勝方程式
可児 良友 著
時事通信社
ISBN: 978-4788714489