Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

三男一女東大理3合格! 中学 高校 大学 志望校に一発合格する過去問攻略法

今日の本は「三男一女東大理3合格! 中学 高校 大学 志望校に一発合格する過去問攻略法」。

佐藤ママさんが書いたいわゆる受験本、勉強法の本。入試対策はどうすればいいか、というノウハウ本だ。著者は他にも何冊か本を書いているが、重複した内容が多い。そこは仕方ないと思う。

最初にまとめておくと、こうやったら成功した、という内容だ。こうすれば誰でも成功するという保証もなければ、他にもっといい方法があるかもしれない。それを踏まえて読んだ方がいい。

まず、過去問についてノウハウが出てくるが、個人的にも過去問は重要という点では賛成だ。例えば、

なんとなくでも解いているうちに、その学校独自の出題形式が見えてきます。
(p.30)

人間には学習機能があるので自然にパターンに慣れていくことができる。同じ問題は出ないから過去問をやらない、という人もいるようだが、とんだ勘違いだといいたい。

志望校に不合格になってしまった受験生は、志望校の解いた過去問の数が少ないケースが多いように思います。
(p.30)

著者は塾で教えた経験があるそうだから単なる空想ではないとは思うが、具体的な数字が何も出てこないのが気になる。これだけでは因果関係は不明だが、もしかすると、過去問をたくさん解くと解けるようになるわけではなく、準備が間に合わない生徒ほどできる過去問の数が少ない、という簡単な話かもしれない。

この後、医師国家試験や司法試験に関して過去問が有効という話が出てきて、

過去問を利用するというのは、あらゆる受験において正しい方法論と言えるのでしょう。
(p.31)

ほぼ同意したい。ただ、それは原則に過ぎないから注意も必要だ。

最近これでパニックになったのが共通テスト。過去問が効果的であるための条件は、次も過去と同じパターンで出題されることだ。共通テストはプレテストと初回に比べて2回目のテストのパターンが大きく変わった科目があって、大惨事【謎】が発生している。

高校受験の過去問攻略法に関して、

特に社会など暗記するところは、考える必要はありません。わからないところは、すぐに解答を見てください。覚えていないところに時間を使って考え込んでも意味がありません。
(p.41)

これは異説がある。すぐ見る派と少し考える派が対立しているのだ。

個人的には少し考える派に賛成だ。考えること自体にも意味があると思う。それをやったのがビリギャル。とにかく考えて答を出してから正解を確認している。

分からない問題を考えて解答するのは、実は重要で難しいスキルである。大学で学問をする時には最も重要ともいっていい。確かに高校、大学受験では必要ないスキルかもしれないが、意味がないというのは違うのではないか。分からなくても考える訓練をしないと、そのスキルは身に付かない。

なお、もう一つの「少し考える」メリットは、脳を「わからない」モードにすることで、暗記が強く定着するという効果を狙えること。

この本には、いろんなところで深く考察せずに自分が正しいという結論に持っていく傾向があるように思う。そこは少し考えて読み進んだ方がいい。例えばマークシート

マークシートの用紙を本番さながらに塗りながら解答する受験生がいますが、時間がかかりすぎて無駄です。
(p.42)

マークする練習をすることで、正しく素早くマークするスキルが身に付くと思うのだが。

もう一つ気付くのは、著者が効率をとても重視していること。例えば、子供が食事をする時にも勉強をさせている。試験用のノートを親が作って、子供が食べる時に見せるのだ。親のサポートはかなり本格的なのだ。

子どもは食べながら、ノートを見ているだけです。
(p.55)

これを真似できる親はなかなかいないと思う。親の手間が大変なのだ。

ちょっと面白いと思ったのは、これも効率と関係しそうだが、単語帳のやり方。

真ん中のページから初めて、最後のページを目指すのがコツ
(p.89)
最終ページまでいったら、次は1ページ目から真ん中まで
(p.89)

普通、最初のページからやって挫折するというのが単語帳の使い方だ【違】。途中で終わるのはアレだから真ん中から始めるというのはチートだけど面白い。

数学の試験で計算ミスを避ける工夫も面白い。

4行ぐらい書いたら、1行目から4行目が間違っていないかを確認。
(p.106)

ユニットテストしながら開発するみたいな感じだろうか。


三男一女東大理3合格! 中学 高校 大学 志望校に一発合格する過去問攻略法
佐藤 亮子 著
光文社
ISBN: 978-4334951214