Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

耳袋秘帖 眠れない凶四郎

今日は「耳袋秘帖」から、…ってもう妖談シリーズは終わってしまいましたが、凶四郎シリーズという新しいのが始まっているのです。初刊は「眠れない凶四郎」。どこかで聞いたようなタイトルですが…

主人公となるのが南町奉行の同心、土九呂凶四郎。ドクロと読むようです。ヒドい名前ですね。しかもちゃんとこの凶四郎、ムーンヒーリング…じゃなくて、円月殺法っぽいのを使います。何でこの名前かという説明はあって、

縁起でもない名前をつけたほうが、凶事は寄ってこない
(p.124)

明日は新元号発表ですが、この作戦でスゴいの付けないですかね、例えば凶鬼とか。

冗談はおいといて、一応確認ですが、眠狂四郎円月殺法は説明しなくてもいいですよね。尾張町の角で岡っ引きが走ってくるシーン。

狂四郎は声をかけた。
(p.121)

凶四郎じゃないんですかね(笑)、引用は2018年12月10日、第一刷です。

typoはおいといて、この凶四郎、新婚なのですが、いきなり女房が死体になって発見されます。しかも見つけるのが凶四郎ですからツイていません。まさに凶運です。ショックで不眠症になって昼間が眠い。そこで例のお奉行、根岸様が、凶四郎を夜の見回りに任命します。夜寝られないのなら見回らせればよかろう、という合理的配置ですね。この根岸が最初に命じたのが、

「狐の駕籠屋が出没するらしい」
(p.69)

狐のかごやがほいさっさ…ってアレはお猿か。ソレを探れというミッションです。駕籠屋から話を聞くのに十手持ちでは喋ってくれないだろうというので、凶四郎は中途半端な遊び人に変装し、博打で適当に負けながら聞き込みをします。この時にやたら鋭い源次という若い衆がいて、これを凶四郎は味方に引き込んで江戸の夜を徘徊する、というシナリオなわけですね。

とりとめがないので、とりあえずいい言葉で〆て今回は終わります。

人が大勢いるところには出てみるものである。意外な知恵や体形談と出会うことができる。
(p.167)

 

耳袋秘帖 眠れない凶四郎
風野 真知雄 著
文春文庫
ISBN: 978-4167910839