Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。

目の前で女子高生が交通事故で死ぬところからストーリーが始まる。

お前の寿命の半分で、彼女を助けてやろうか
(p.11)


黒いローブを纏った不気味な人影にそういわれて、やってみろよと言ってしまった。次の朝、目が覚めると1日分の記憶が飛んでいる。主人公の坂本(男)は、事故死した夢前(女)の人格が1日毎に入れ替わる体になってしまった。だから夢前の人格が現れている間の記憶がない。

というどこかで観たようなストーリーだが、やがて入れ替わりに気付いた二人はスマホではなく日記でコミュニケーションする。こちらは2013年に発行されているから、こっちが先だけど、多重人格で交互に入れ替わるって、元祖は何だっけ?

それは気にしないことにして、この話はラノベ。軽く読むべきものである。後半に出てくる風城の行動も非現実的でいまいちインパクトがない。普通の学校生活と人格交代というフィクションの要素の葛藤というか落としどころが難しいのかもしれないが、そんなに深い話を期待して読む人もいないだろうし、むしろちょいエロ的な軽いジャブが面白い。

これね、先生が開発した「パンツだから恥ずかしいもん!」ってアプリなの。
(p.58)


写真を撮ったらパンチラ変換してくれるというどストライクなアプリなんだけど本当にあるのだろうか。思わず開発してしまいそうになったけど車輪の再発明はしたくないし。ラノベだけにこの後ちょっとヘンな方向にストレートしていく。とはいってもアダルトまで行かない深夜アニメレベルの話。しかしこのどうでもいい小ネタが後で使われるというのは意外だった。侮れない。

あまりキャラも出てこないけど、ちょっと悲劇なのが、かすみちゃん。

「君が好きなのは俺じゃないんだ。だから、ごめん」
(p.161)

夢前の人格でさんざんアプローチしておいて坂本の人格でごめんなさいはヒドいと思うけど、奥寺先輩は何となく魅かれたという描き方だったけど、こちらはラノベだけにアプローチが無茶苦茶なのが笑える。各キャラの立ち位置というか性格的な設定があまり一貫してないというか、ハチャメチャな性格というところで一貫しているのか。

続編が出ているが、そちらはまだ読んでない。機会があったら読んでみたい。


明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (電撃文庫)
藤まる 著
アスキー・メディアワークス 発行
ISBN 978-4048913294