Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神

今日の本は「夢をかなえるゾウ2」。

今回の主人公は34歳の売れない芸人、西野勤太郎。いきなり300万円の借金を背負わされ、ガネーシャとコンビを組んで優勝賞金1千万円のゴッド・オブ・コントの優勝を狙うというストーリーです。

西野は才能ナシのあがり症、という設定。才能がない件にに関しては、

最終的に成功する人間ちゅうのはな『自分には才能がない』ちゅう『不安』を持ってる人間なんや。そういう人らが、人の意見に耳を傾けて、試行錯誤していくことで最初の頃には想像もでけへんかったような成長を遂げるんや。
(p.79)

才能は生まれつき持つしかないものではなく、努力することで後からついてくる、よく言われることですが、それはさておき、上がり症の芸人って何。あかんパターンやろ(笑)。実世界には、緊張して入試に失敗する人とか、結構いますよね。どうすれば頭が真っ白にならないか、というのが受験掲示板の FAQ だったりします。今回、図書館に行って「緊張」で検索して本を読むという現実的なソリューションが出てきます。

本ちゅうのは、これまで地球で生きてきた何億、何十億ちゅう数の人間の悩みを解決するためにずっと昔から作られてきてんねんで。その『本』でも解決でけへん悩みちゅうのは何なん? 自分の悩みは地球初の、新種の悩みなん?
(p.60)

解決不可能と結論付けられた悩みもありそうですが。

とりあえず、悩みを解決するにしろ、才能を身に付けるにしろ、必要なのは自分の欠点をコツコツと改善していくという単純作業。しかし、欠点を指摘された人はなかなかそれを直さないといいます。なんで?

ほとんどの人が他人の意見を聞かへん本当の理由はな、『直すのが面倒だから』やねん
(p.79)

確かに面倒かも。そのままでええがな。って誰か言ってましたね。

今回のゲストは貧乏神の金無幸子さん。西野に取り憑いています。貧乏神のいうには、貧乏になる人は3タイプに分かれるそうです。ドリーム貧乏、ガネーシャ貧乏、お駄賃貧乏。2番目のガネーシャ貧乏というのは、我慢できない、誘惑に勝てないタイプの貧乏。

目の前の誘惑を我慢できない人というのは……『楽しみはあとに取っておいた方がより大きくなる』という経験をしたことがないのでしょう。
(p.97)

痛みが大きければ大きいほど快感も強くなるのです。

今回は芸人が主人公ということでお笑いネタ満載、無茶ぶりも結構あります。ゴッド・オブ・コントの予選当日にネタ合わせなしでぶっつけ本番することになって、終わった時のガネーシャの言葉。

やっぱり人間ちゅうのは追い込まれると思いもよらん力発揮する
(p.119)

火事場の馬鹿力ってやつでんな。

初回から大暴れの釈迦は今回もちゃんと登場します。少し性格悪くなっているような。貧乏神の金無幸子をデートに誘って、行く先がハローワーク。貧乏な人が集まるところを選んだのでしょうか。気が利いてますね。西野は成り行きでハローワークで芸をすることになります。いきなり言われてできるのか、最初は不安でしたが、

 不安に実体はない。自分の不安に対する姿勢が、そのまま不安の大きさを決める。
 だから、僕みたいに不安を感じやすい人間は、不安を感じたときこそ、前に出なければならないんだ。
(p.142)

ということで思い切って即興で芸をします。こういうのは開き直ると案外うまく行くものです。

失敗したことや、恥ずかしいこと、みじめな状況ちゅうのはできるだけ人に話して笑いにしてったらええねん。
(p.171)

隠していたらキリがないと。

で、今日の一言。

どんなにつらい状況でも、それを楽しもうとする気持ちさえあれば、人は、自らの手で喜びを作り出すことができます。お金がなくても、人は幸せになることができるんです
(p.240)

貧乏の神様なので、貧乏でも幸せになれないと困るのです。


夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神
水野敬也
文響社
ISBN: 978-4866513522