今日は小林朋道さんの「先生、大蛇が図書館をうろついています!」。
これはシリーズの9冊目のようですが、私はこの本が初めてです。おそらく他の本も似たような話ではないかと想像します。小林さんは鳥取環境大学で動物行動学、進化心理学を研究しているそうです。一体どういう研究なのかというと、要するに実際に動物を観察して、何でそうなるのか考えるわけです。必然的に動物のおもしろ話がわんさか出てくるので、個人的には、高校生の頃に読んだ畑正憲さんの動物本みたいな感じがしました、
具体的にどんな話が出てくるかを紹介してみますと、
「実習ではレトルトカレーを忘れる者が必ずいる」
(p.77)
これは学生を連れて動物観察の実習に行くときに、食事はその場でご飯を炊いてレトルトカレーをかけて食べることになっているらしいのですが、レトルトカレーを忘れる学生が必ずいるという謎の法則なのです。
他には、
私は工作や絵が大好きなNkさんの目がキラリと輝いたのを見落とさなかった。
(p.132)
動物じゃなくて人間…いやいや、分類としては人間だって間違いなく動物です。小林さんは本来、動物を観察するプロなのですが、人間も動物ですからソレを観察するのはお手の物なのでしょう。
もちろん本書に出てくる話の殆どは人間ではなく、ヘビとかモモンガとかアナグマとかコウモリとか、そのような動物を観察したものです。ちなみにタイトルは図書館でヘビを展示したら逃げ出したという話です。こういう時は見つからないことが多いらしいのですが、奇跡的に見つかったそうです。
個人的に面白いと思ったのは、ヤギのリーダーの話です。2匹のヤギ、ミルクとコハルが犬と遭遇します。犬を見たヤギは後退するのですが、
ミルクはコハルを数回チラッ、チラッと見たのだ。
(p.178)
コハルがリーダー格で、ミルクはコハルがどう対応するかをチラ見して、コハルに従うわけですね。コハルが戦う気だというのを確認してからミルクも追従する、という流れなのです。チラ見している写真が見事です。
先生、大蛇が図書館をうろついています! ―[鳥取環境大学]の森の人間動物行動学
小林 朋道 著
築地書館
ISBN: 978-4806715986