今日の本は津田 久資さんの「あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか」。ビジネスマン向けの、論理思考の紹介本である。かなり読みやすい。
冒頭のツカミの所で、まずクイズが出てくる。テレビ番組の「人気のパンランキング」で、3位はあんパン、2位はメロンパンだった。
では、1位は?
(p.003)
5秒考えろというのだが、そんなに時間はかからない。食パンに決まっている。
答えは「食パン」だ。
(p.004)
ですよね。
それで?
これを聞いたとき、多くの人がきっと拍子抜けするはずだ。
(p.004)
?
えーと、ちょっと何言ってるのか分からないです。筆者もそう思った【謎】というのだが、
人気第1位であるにもかかわらず、多くの人が食パンを思いつけないというのは、ちょっと不思議ではないだろうか?
(p.004)
いやその…
不思議というのは反論する気はないが、思いつくでしょ?
津田さんは何故思いつかなかったのだろう。とても不思議だ。おっと、ちょうどいい所に人がいたので、聞いてみた。1位は何だと思う?
「食パンじゃない?」
ですよねー。秒殺である。
「1位=食パン」を発想するには、どんな頭の使い方をすればいいのか?
(p.005)
いやいやいや…
何も考えなくても食パンって答えてくれたよ。この本は論理思考の本のはずだが、津田さんの思考力は大丈夫なのだろうか、ちょっと心配になってしまう。あ、もう一人きたから聞いてみよう。30秒くらい考えた。
「食パン」
そりゃそうだ。今回は答える前に「どこで調査したか」と逆質問された。これはこの本のテーマ的には重要なポイントかもしれない。調査対象の集団によって結果が異なる可能性は高い。もしかして私の周囲には食パン派が多いのか? そういえばジャコバン派ってあったような【無関係】。
ていうか、これで3-0になった。そもそもこの話「人気のパン」のランキングなんだから、一番人気があるパンを回答する人が多いのは当たり前のことじゃないのか?
私が「食パン」と答えたのは明確な理由がある。パンは割とよく買いに行くから分かるのだ。フランスパン系しか置いてないような店もあるけど、いつも行く店に一番たくさん置いてあるのは食パンだ。たくさん置いてあるということは、たくさん売れるということだ。つまり人気があるのだ。という考え方をしたのである。
つまり、どんな頭の使い方とか、何もない。論理的といえばそうかもしれないが、単に売り場に行って一番たくさんあるパンは食パンだから「食パン」と答えただけだ。経験の勝利である。
そういえば最近、とあるクイズ番組で、元東大王の林さんが出ていた。ジャスコ林だ。その時の問題が、今売れているヒット商品の発売当時のパッケージを見て商品名を当てるというもの。芸能人がどんどん当てているのに対して、林さんがことごとく外してしまう。ユンケル黄帝液を外したのはビックリした。集中的にボコられていたが、ジャスコ林がスッポン林になった瞬間である。
知らないものは知らないわよ。そこは当たり前なので責める気はない。ユンケル黄帝液を知らない人がユンケル黄帝液と答えられないのは当たり前のことだ(存在は知っていたようだが)。実際にドラッグストアとかに行ってドリンクの売り場を見れば、アリナミンAとかリポビタンDに並んでユンケル黄帝液が置いてあることが分かるが、行かないと分からない。
林さんはそういう所はあまり行かないのではないか。つまりこれは情報収集のフェーズに問題があったと考えるべきことなのである。
競合に打ち勝つアイデアは、論理的思考から生まれる
(p.008)
そこを否定する気はないけど、だったら食パンは普通に論理的思考をして当てて欲しいと思う。
もう一つ面白かった話がある。p.58 の演習問題だ。
スタートからゴールまで、最も早くたどりつくルートは?
(p.58)
ややこしそうな迷路が書いてある。この演習問題にチャレンジしてみた。
ちなみに、この種の問題は東大王でよく出てくるので得意だ。頭に解法が入っている。そのパターンで考えると、問題には迷路の中を通れとは書いてないから、スタートからゴールまで、迷路の壁の外に沿って歩くコースが割と早そうに思えてくる。
しかし、そんな甘い考えでは競合に打ち勝つアイデアは出てこないだろう。なので、少し考えて、この答にした。
・スタート地点に「どこでもドア」を置く
目的地をゴール地点にすれば、1歩でゴールに行けるので最短だ。さあ正解は?
スタートからゴールまでを直線で結んでしまえばいい
(p.060)
くっ、外した。残念… orz
いやまて、絶対これ「どこでもドア」の方が早いだろ。出題ミスじゃないのか?
問題文にはあれが迷路だとはひと言も書かれていない。
(p.060)
ドラえもん禁止とも書いてなかったぞ。
何かこの本、おかしい。著者の津田さんは、自分がこう考えるから他の人もこう考える、と決めつけているように見えてくる。それはそれで面白いから構わないけど。
MECE の話とかこの後出てくるけど、力尽きたので今日はこんな所で終わらせておく。
あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか―――論理思考のシンプルな本質
津田 久資 著
ダイヤモンド社
ISBN: 978-4478065174