今日は「キノの旅」の第12巻。順序がぐちゃぐちゃですね。すみません。
第三話「求める国」は、戦略的に他国を乗っ取る話です。
やれ〝平和は何よりも尊い〟とか、〝戦争は絶対悪〟とか、〝軍隊は人殺し連中〟とか、〝軍備に使う金で貧しい人を助けろ〟とか、〝武器を持たずに話し合いで解決しよう〟とか、耳障りのいい言葉をぽんぽんと並べ立てて――。純朴な人達はすっかり乗せられて、〝やっぱり戦争はダメだよね。軍隊をなくそうよ〟とか言い出すかもしれない。
(p.68)
敵国を武装解除する、あるいは軍事力を弱体化させる、というのが侵略行動の基本ですから、情報操作は当然の流れでしょう。敵国民をそのように洗脳すれば、領土を占領しても武力で抵抗してこないので、永久に侵略したまま資源を乗っ取ることができます。
第四話「日時計の国」。超破壊兵器の話ですが、最大射程で撃ったら惑星を一周して撃ったところに戻ってきたという。
球体の惑星のどこへでも砲弾を送り込める性能があるんだから、最大射程ってことは……」
「撃った場所へ……、一周して戻ってきた?」
「正解」
(p.103)
球体なら、一周ではなく半周分の射程距離があれば球面上のどこへでも砲弾を送り込めると思いますが。
第五話「努力をする国」。惑星温暖化という、どこかで聞いたような話が。この国の人達は、
温暖化は氷河を溶かす
(p.118)
という話を聞いて、氷河を砕いたら、
惑星はどんどんどんどん暖かくなるのです!
(p.119)
というのですが、理論がよく分かりません。温暖化は氷河を溶かすという事実から、どう導けば氷河を砕いたら惑星が温かくなる、という話が出てくるのだろう?
第八話「賭の話」は、
「次に通りかかるのが自転車だったら告白する! 自動車だったら、しない!」
(p.155)
私はここでオチが見えてしまったので面白かったです。
さて、「キノの旅」は、キノとエルメスの話、師匠と相棒の話、シズと陸の話、フォトとソウの話、この4パターンが主に出てくる短編形式になっていますが、第十話「雲の前で」は、フォトが奴隷だった頃のストーリーです。アニメ化されています。なぜ奴隷という立場から開放されたのか、この話で分かるようになっています。
「どうやったら、私は死ねるの」
「簡単さ! 生きればいい。生き物は生きれば、いつかは死ぬ」
(p.227)
確かに、生きてないものは死ねません。生きるためにはどうすればいいのか、興味がわいてきますね。ちなみに、エルメスとソウはモトラド、陸は犬ですが、このシリーズでは会話できることになっています。
キノの旅〈12〉the Beautiful World
時雨沢 恵一 著
黒星 紅白 イラスト
電撃文庫
INBN: 978-4048672634