Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

キノの旅XVII the Beautiful World

今日は「キノの旅」の第17巻。もう巻数の順は錯乱状態ですが気にしない。

この巻は、新聞に週刊連載された話が収録されているということで、ショートストーリーが多く、スキマ時間に読み易かったです。

第二話「自然破壊の国」。自然破壊し過ぎたことに気付いて、自然を取り戻そうと努力している国なのですが、

まず、家は全部壊して、石を捨てる! これだけで国の中はサッパリするはずだ。石垣を剥がして、国中に大地を出す。土を見ずして、人間らしい生活などできないからな。そして、木や草を植える!
(p.37)

30年計画というのですが、国の外は自然で一杯なんだから、全員国の外に引っ越して国境を引き直せば1年でできそうな気がしてきました。

第七話「楽園の話」はシショーがメインの話。谷間の中にある楽園から出られなくなります。外の世界には出られないのですが、閉じた世界の中で衣食住は不自由ない、ということで楽園。最後は全員そこから脱出するのですが、何となくモッタイナイような気もします。とはいっても人口増加したら破綻してしまうので、いつかは何とかしないといけないのでしょう。

第九話「料理の国」は、鶏肉のキノ焼きが出てきます。この話はアニメにもなっていますが、あの味は再現できていないような気がしました。

「凄かった」「恐ろしかった」「鬼だ」「壮絶だった」「寝込んだ」「別の世界が見えた」
(p.200)

世界線を移動する作用のある料理というのが凄いです。「別の世界が見える料理」は食戟のテーマにして欲しいですね。

第十一話「鉄道の国」は長期戦略で復讐しようという話なんですが、個人的にはこの話は納得できません。しかし今の世界に似ているような気はします。

エピローグ「渡す国・a」は、シズ様がメイン。移住できそうな国が見つかるのですが、半年のテスト期間住んでみて、

その間に違法行為を働かないこと
(p.337)

という条件がキツかったという話。走れメロスのようで、なかなかスリリングです。


キノの旅XVII the Beautiful World
電撃文庫
時雨沢 恵一 著
黒星 紅白 イラスト
ISBN: 978-4048660211