Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

雑記

今日は体調最悪でグダグダでしたが、電車の中で三島を読みながら何とか意識を保つ(笑)という作戦で行ってみました。実は昨日はぶっ倒れそうになったんですよね。

さて、今読んでいるのは「小説家の休暇」ですが、伴智信の「鎮魂伝」からの引用あたりまで読みました。この引用ってどんなのかというと、

あちめ おおおお おおおお おおおお あめつちに きゆらかすは さゆらかふ
 かみわかも かみこそは きねきゆう きゆらかす
(p.102)

こういうのを読んでいると後ろに誰が立っているような気がしてきます。

 

隻眼の少女

今日は「隻眼の少女」を読みました。個人的には、何か、もやもや感の残る作品です。

人間の行動原理は案外単純なものよ。
(p.182)

そこは全く否定する気はないのですが、単純な中に偶発的な要素が満載されるというのが人間の実際の行動です。原理にマッチしすぎるとかえって怪しい感じがしてしまうのです。

この話の主人公は御陵(みささぎ)みかげ。全体は大きく2つに分かれていて、第一部のみかげは登場時点で17歳。第二部に出てくるのは、このみかげの娘です。両方に関わってくるのが大学生で自殺志願者の種田静馬。大学生というのは第一部の話ですが、死に場所を探してやってきたら殺人事件に巻き込まれてしまって、そこで自殺したら犯人にされてしまうから死ぬのを延期する、というのが何かもうそこでアンリアルです。本気で死にたいと思っている人がそんなどうでもいい理由で死ぬのを延期することなんてあるのでしょうか。

と思えば、この種田、最初から死ぬ気はないんですよね。いわゆる死ぬ死ぬ詐欺です。これに対して、みかげは名探偵。

期待の大きさに押し潰されないようにしなければならない。
(p.223)

期待に応えるのではなく、期待を無視するというソリューションもあると思うのですけどね。

もっとも、このストーリー全体が、犬神家の一族のような閉鎖された世界。そのような世界を想定した時点で非存在感に溢れてしまうのは仕方ないことなのかもしれません。と割り切ったら、あとはこの少女探偵にどこまでのめり込めるのか、ということになりそうです。

全体的には最後のオチまで含めて、なかなか面白いのではないでしょうか。ただ、裏表紙に出ているような「超絶ミステリの決定版」まで行くのかというと、何かそこにはもやもやしたものが残ります。

隻眼の少女
麻耶 雄嵩 著
文春文庫
ISBN: 978-4167838461

雑記

今日もいろいろプログラムと格闘していたので本を読む暇はあまりなかったのですが、昨日に続いて三島由紀夫さんの「小説家の休暇」を少し読んでいました。

私は恩寵を信じていて、むやみに二十歳で死ぬように思い込んでいた。
(p.24)

夏休み明けの9月1日に自殺する子供が多いという調査データがあるそうですが、9月1日が尖っていなければいいという話ではないはずです。自殺する人はなぜ自殺するのでしょうか。

青年の自殺の多くは、少年時代の死に関するはげしい虚栄心の残像である。絶望から人はむやみと死ぬものではない。
(p.24)

三島由紀夫が存命で今の生徒を見ていたら何と言うのでしょうね。

個人的に言いたいのは、先の話の続きですが、9月1日になぜ自殺者が増えるのかではなくて、何月何日であれ、なぜ自殺するのかというところをもっと厳密に科学的に考えないといけないのではないかということです。

昔の人の小説や随筆を読んでいる限り、昔だって今と同じようないじめは間違いなく存在していたのですが、それが自殺に繋がるようなことは今ほどなかったようです。そこに大きなヒントがあるような気がしませんか。

 

雑記

暑い8月が終わって9月になりました。8月中に片付けないといけないことが山ほどあったのでとりあえず全部形式的に片付けたのですが、実質的に片付いていないのでこれから後片付け【謎】の作業がわんさか来る悪魔の予定になっています。

とにかく書類は期限内に出せというのは税務署で教えてもらったノウハウで、期限内に出しておかないといろんなペナルティが加算されたり優遇措置が使えなくなるので、とりあえず期限内に出して受付印を押してもらっておけば、間違っている所は後で修正すればok、という技です。もっとも、それより前にもっとスゴい技を教わっているのですが、それは危険すぎるのでまたの機会に。

今日少し読んだのは三島由紀夫さんの「小説家の休暇」。

叡智と官能の渾然たる境地にあって、音楽をたのしむ人は、私にはうらやましく思われる。音楽会に行っても、私はほとんど音楽を享楽することができない。意味内容のないことの不安に耐えられないのだ。
(p.14)

これは意外というかやはりというか、三島さんらしい一面ではないかと思いますが、これは三島さんが勘違いをしているのではないかと思います。音楽には意味内容があるからです。

ただし、音楽の意味内容は文字で表現されていません。音だけの表現内容です。三島さんのいう意味内容というのは文字に置き換えられた情報のことではないでしょうか。文字情報にできない意味も内容もいくらでもあるのです。音楽の場合、分かりやすいのは明るいとか暗い、穏やかとか忙しいとか、そのような印象的な内容です。雅楽を聴けば和風な印象を受けるのは、それが和風の意味を持っていることをどこかで学習したからです。では、それをどこで学習したのか、という問題が出てきます。三島さんはソレを学習し損ねたのかもしれません。

小説家の休暇
三島 由紀夫 (著)
新潮文庫
ISBN: 978-4101050300

雑記

ついに8月も最終日ですが、今日は石原慎太郎さんと江藤淳さんの「断固NOと言える日本」をちょっと読んでいました。一日中プログラムと格闘していたのですが、何か待ち時間とか長くてノリにくい作業なのです。目を離すと異常停止している、というアレです。

なかなか絶妙な本なのですが、こりゃその通りだね、というのを一つ紹介しておきます。

つまり、言論は自由だから、「アメリカは悪い国だ」と言ってもいいし、「湾岸戦争反対!」と言ってもよい。しかし、次の瞬間に、武器の保持・携行の自由を保障されているもう一人のアメリカ市民が、思わず引金を引いて、「アメリカは悪い国だ」と言った人間を射撃することも自由なのです。
(pp.150-151)

射撃の自由というのが面白い、それも自由というのがアメリカ的自由なのだ、というのですが、現実にそうですから否定のしようもない。日本の場合、自由は平和と連結しているような錯覚をしてしまうかもしれませんが、自由というのはむしろ戦いと連結するのです。戦わないと自由は手に入らないという状況があるのです。

断固「NO(ノー)」と言える日本―戦後日米関係の総括
石原 慎太郎 著
江藤 淳 著
カッパ・ホームス
ISBN: 978-4334051846

雑記

今日は浜村渚シリーズの「7さつめ」をちょっと読みました。リーマン予想のネタはモーニングの「はじめアルゴリズム」にも出てくるのですが、未解決問題が出てくるとどうしても煮え切らないというか、もやもやしたものが残ります。作品中で解決してしまったら面白いと思うのですが。

 

雑記

今日は1万2千歩も歩いたみたいです。雨は降ってなかったのでこれ幸い、といったところですが、まあ暑かったですね。本を読む暇などないかというと、今日発売の週刊マンガ、モーニング39号を読みました。

KILLER APE のこのセリフ

ハウザー
勝った反逆者は何と呼ぶ?
(第38話)

勝てば官軍なんですけどね。それがなかなか勝てないというのが現実。