今日の本は、雫井脩介さんの「望み」です。
映画化されたそうですが、観てません。裏表紙にはサスペンスミステリーと書いてありますが、ミステリーよりはサスペンス色が強い作品です。
主人公の一登の息子、規士が夜に出かけたきり帰ってきません。その友人が死体で発見されます。規士は殺人犯なのか、それとも被害者で友人と一緒に殺されているのか。究極の選択のような状況になって両親が葛藤するわけです。
マスコミに犯人扱いで報道されて仕事がキャンセルされたり、リアルにヒドい状況になっていく描写はそれなりに緊張感があります。マスコミの報道だけでなく、インターネットの噂を皆が盲信してしまうというのは今の日本ではあるあるですね。
人間を信用するというのがどんなに難しいか、という感じのテーマが見え隠れします。個人的には、基本的に人間は信用していないので、その点はいまいちノッて来ませんでしたが、もっと意表を突いた終わり方を期待してしまったので、それで微妙な感じなのかもしれません。
望み
雫井 脩介 著
角川文庫
ISBN: 978-4041082096