Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

萌える英単語もえたん

すごすぎます。こんな表紙だと電車で読めないという人のためにリバーシブルになっている表紙はさておき、これってマジで受験の役に立つのか、というか、最近のセンター試験にはこういう文が出題されるのか、というのは考えすぎですか、そうですか。

例文が物凄いです。すごいところに電源スイッチがなくても凄いです(*1)。これは多分、ネタばれのサイトがあるんじゃないかという程凄いというか、どれだけネタが分かるかということが重要かもしれません。って何の本? 書店で探しても見つからなかったのですが、その前に、一体どのコーナー探したらいいのか分からなかったとかいう。参考書とか英単語とかのコーナー見てもなかったんだよな、これが(*2)。

イメージ分からない人はもえたんの公式サイト見るのが吉。

(*1)
CLAMPさん作のコミック・アニメ「ちょびっツ」に出てくるアンドロイド(作品中ではパソコンと表現している)のちょびっツの電源スイッチがすごい所にある。

(*2)
2017年現在、参考書の英語のコーナーに置いてあるようです。

萌える英単語もえたん
渡辺 益好・鈴木 政浩 著
三才ブックス
ISBN: 978-4915540707

新装版
ISBN: 978-4915540974

(※この書評は2003年12月18日に萌える英単語もえたん: Phinloda の裏の裏ページに投稿した内容を加筆・修正したものです)

AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット ~あの頃、彼女がいたら~

ネットで買おうと思ったらどこ行っても売り切れで販売してないので、知ってる小売店を全部回るしかないか、と思ったら最初の店でgetできました。こんなこともあるんですね。

帯に、

AKB48グループの衣装全1102着収録!!

と書いてあります。つまりAKB48の普通の写真集ではなくて、衣装を紹介している本です。メンバーが着ている写真は33ページまで。その後は延々と衣装と解説が続きます。ラジオでは服飾やってる人とかに見て欲しいと言ってたけど、衣装マニアにもおすすめです。

Chapter 1 はシングル曲とその衣装の解説で、衣装の写真と、デザインのイラストが出ています。イラストに付いている短いコメントが結構面白くて、当時の様子がうかがえます。例えばこのような小ネタが。

『BINGO』の前まではメンバー全員に同じ衣装だった
(p.40)

この後の衣装は、メンバーごとに細かい違いがあるものは各メンバーの衣装がずらっと並びます。違いが細かすぎて見ても分からないのとか(笑)。MUSIC STATIONレコード大賞で歌うときの特別衣装も別途紹介されています。「Everyday、カチューシャ」や「ラブラドール・レトリバー」のようにビデオに水着シーンが出てくる歌は、使った水着も紹介されています。

Chapter 02 は劇場公演衣装コレクション。CHAPTER 3 はカテゴリー別に紹介されていて、造形とかナース風とか、マジでこんなの着て歌ったのかと驚くようなデザインのものが。

ちなみに、p.33 のトンネルの写真、ここですか、周囲の汚いところをうまくカットしていますけど、よくこんな所で撮影したな、と思います。

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茅野さんのコラムも読み応えがあります。野球部のユニフォームを作ったときに秋元さんからのダメだしが、

『野球部のユニフォームがきれいなわけがない。そこに嘘があると、見ている人は冷めてしまう』
(p.151)

細かいですね。まあでも1回の表とか案外キレイだったりしますが。他にも、早着替えの衣装はどういう仕組みで着替えるのかとか、若干テクニカルな解説があって、それも面白いです。

AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット ~あの頃、彼女がいたら~
秋元 康、オサレカンパニー 監修
宝島社
ISBN: 978-4800268815

家電の神様

主人公の轟雷太くんは大手家電店のビッグロード電器に2012年に入社した営業マン。しかし大赤字になってしまい、ランダムなくじに当たってリストラされてしまいます。ヒトゴトではありませんな。再就職は実家の母親が社長をしている地元密着型の電気屋さん。近くに進出してきたオオジマデンキというどこかで聞いたような名前の家電量販店の標的にされてしまう。秘策はあるのか。

みたいな感じだけど、シビアなビジネス小説でもなく、ラノベほど軽くもなく、ゆるふわって感じで安心して読める作品ですね。

一応、営業戦略的なネタは出てくるけど、

みんなががんばれる目標を設定するのは難しい。どうすればいいのか。これはお客様への本当のサービスとはなにかということにも繋がる。
(p.128)

顧客満足度の話っぽい。CS (customer satisfaction)です。細かいこといえば、CSは顧客満足で、顧客満足度とは厳密には違うけどね、しかしこの言葉は本には出てこなかったような気がするな。個人的にはこの程度のアドバイス当たり前すぎて面白くないです。知らない人には面白いのかも。

タイトルの家電の神様というのは、ときどき神様が出てくる。神様というと DAIHONYA を思い出すなぁ。ていうか普通の人間だけど、ありがたいお言葉を言うキャラ。量販店とのバトルについては、

お互い、持ち味を発揮すればいいのです。」
(p.195)

ヌルいこと言ってるんだ、という気がしないでもないが。持ち味ってのは近所に電気屋さんがあるので分かる。ウチの洗濯機は無茶なことを言って、そこで買いました。どういう無茶かというと、洗濯機を置くスペースを見てもらった。これが狭いんだよね。ここに設置してくれたら買う、みたいな。設置されてしまったから仕方ない(笑)。

神様のお言葉をもう一つ紹介すると、これは、100やって1回成功したら、それは失敗か成功かという話。

多くの人は九十九の失敗に目を向けます。そうすると自信を無くし、新たな試みをしない。リスクをとろうとしない。それは本当の失敗です。」
(p.198)

一勝九敗っていう、ユニクロの柳井さんが書いた本がある。考え方は定番なので個人的には「だよね」で済んでしまったりするな。お言葉が悪いわけじゃないけど、松下幸之助さんの本とか読んでたら、知ってることしか出てこないと思う。

そういえば、轟くんより先にリストラされる天才エンジニアっぽいキャラがいる。品川さん。実際そういう人をリストラする会社ってあるのかな。この人がもっと活躍すると面白かったかも。品川編希望(笑)。

家電の神様
江上 剛 著
講談社文庫
ISBN:  978-4062935630

九尾の猫

昨日は本格的ミステリーがほにゃらら、みたいなことをうっかり書いたので、じゃあ本格的ミステリーってどうよ、ということで紹介しましょう、エラリイ・クイーン著、九尾の猫です。日本だと九尾はに決まっているけど、この話はヌコです。化物の話ではなく本格ミステリなので、夜な夜な猫が出てきてエナジードレインしたりはしません。猫というのは犯人のコードネームで、ちゃんと殺します。人間が死んでいきます。連続殺人事件です。

もちろん本格ミステリーなので、真犯人を特定するヒントは本文に全部出てくる。でも本格的だから、注意深く読まないと気付かないように出てきます。p.143 の図なんか面白い。どこが面白いか書くとネタバレになるので書きませんが。なお、私は1978年初版発行の24刷の大庭忠男訳を持っているので、新訳だとページが違うはずです。今回引用するところは、全て大庭訳のページになるので、予めご了承ください。Amazon にリンクしておきますが、多分 kindle版の方です。私が持っているのは紙の文庫本です。

謎解きの舞台はウイーンに移ります。エラリイは精神病の権威であるセリグマン教授と会話します。エラリイって作者の名前じゃないの、と思った人がいるかもしれないけど、エラリイ・クイーンさん名義の推理小説には同名のエラリイ・クイーンという探偵がよく出てきます。本の紹介には「犯罪研究家」と書いてあるけど。

セリグマン教授、それは精神年齢が五歳以上の者ならだれでも納得させることができる事実にもとづいています」
(p.378)

犯人は5歳の思考力があれば分かるよね、と読者にケンカ売ってます。ただし、この作品には、エラリイ・クイーンさんの他の作品によくある「読者への挑戦状」は出てきません。これについて書き始めるとネタバレになってしまいそうなので、書かないことにします。それだけでも大ヒントっぽいですけどね。

このストーリーにはいくつか山場があります。一つは猫が捕まらないことに恐怖して市民がパニックになるところ。犯人が殺した人数の何倍もの人間が、群集心理由来のパニックで事故死してしまう。この後の回想シーンで、

今の世のありさまは、ずっと昔、宗教が生まれかけたころのことを思い出させる。
(p.184)

人間ってわけのわからない行動をわけのわからない権威に頼ろうとしますよね。

そして、昨夜の不幸な出来事で実証されたように、群集の思考力はきわめて低い次元のものだ。君たちは無知でいっぱいだ。
(p.185)

最近これを痛感したのが某復興大臣が辞任した「よかった」発言。本とは関係なので細かいことは書きませんが。

ところで、次のセリフはよく分からなかったな。

世界中でユダヤ人がいちばんたくさん住んでいる都会でユダヤ人を一人も殺していない
(p.212)

何かヒントになっているのかもしれません。全て謎が解けてから読み直しても謎。何かニューヨーカーだと自明な慣習とかあるのかな、そういうところは国による文化とか宗教とかの常識レベルの知識の違いがあるのでしょう。

さて、私はITの仕事をしているので、最後の謎解きの後で教授の言う言葉が深くていい感じですから、それを紹介して今回は終わりにしましょう。

君は前にも失敗した。今後もするだろう。それが人間の本質であり、役割だ。
(p.403)



九尾の猫
エラリイ・クイーン著
ハヤカワ文庫

大庭 忠男 訳
ISBN: 4-15-070118-0

越前 敏弥 訳
ISBN: 978-4150701529

人質カノン

7つの短編が入っている。本のタイトルになっている「人質カノン」は偶然コンビニで買い物をしているときに強盗が入ってきて人質になってしまうという話。ミステリー的な物語だが、本格的ミステリーのようにヒントが分からないように埋め込まれているのではなく、読めば分かるように書いてあるから気軽に読める。妙に理屈っぽくて落ち着いている子供が面白い。

他には電車で拾った手帳の持ち主を探し出す「過去の手帳」、おじいさんの遺書に書かれた言葉の意味を探り当てる「八月の雪」は短編ながらも読み応えがあった。八月の雪は思わぬ歴史的事件が出てくる。社会を真面目に勉強していてよかった、みたいな。

個人的に興味深かったのは「生者の特権」。飛び降り自殺をしようと13階建てのビルを探している明子が主人公。13階建てってないよね、もしかして実在しないのかな、14階は結構あるけど。死ぬ理由は男に二股かけられて捨てられたから。この明子が夜の小学校に忍び込もうとしている子供と出会って、一緒に校舎の中に不法侵入(笑)することになるのだが、校内でお化けと出会ってびっくりして逃げる。

明子は後を振り返らなかった。死んでも振り返りたくなかった。だって見えたらどうしよう。
(p.254)

ていうか、死にたいんじゃなかったのか。この話はザックリいえば子供と出会ったことで自分の生存意義を再認識するというストーリーだが、そんな単純なことで生きる意欲が生まれるということに驚く。逆にいえば、今の人達はそんなに簡単なことで死のうと決断してしまうということか。なんてモッタイナイ話なんだ。フィクションだからリアルに当てはめるのがおかしいのかもしれないが。解説に書かれている

弱者のエールにあふれた作品
(p.314)

というのがどうしてもピンと来ない。こういうのがジェネレーションギャップというものなのだろう。



人質カノン
宮部みゆき 著
文春文庫
4-16-754904-2

学歴と格差・不平等

日本は学歴社会だろうか。この問いに答えるためには、学歴社会とは何かを明確にする必要がある。学歴社会の一般的な意味としては、次のような定義がある。

人間の社会的地位や収入、さらには人物の評価までが学歴によって決められる社会
(広辞苑)

今の日本で社会的地位や収入が学歴によって固定されているわけではない。中卒でも国会議員になれるし選挙権もある。大卒よりも高収入の人だって大勢いる。医師のような高度に専門的な能力が必要な一部の職業を除けば、学歴に関わらずどのような職業にも就け、社会的な地位を得ることができる。

学問的な厳密な意味としては、次のように定義されている。

そもそも学歴社会とは、厳密な意味では、卒業した学校によって将来が決まってしまうという学歴メリトクラシー(学歴が有効な判断基準となる制度)、学歴クレデンシャリズム(学卒資格至上主義)が重要な意味・作用を持つ社会であるとされてきた。
(pp.20-21)

しかし、大卒が高卒以下の学歴よりも高く評価されているという現実がある。大学を出たら必ず就職できる保証はない。それだけでも今の日本は厳密な意味での学歴社会とはいえないのだが、日本には新卒採用という独特の就職支援制度があるし、学歴フィルターという謎のシステムが存在し、一流企業に入るには一流大学を卒業すれば有利になるのも事実である。

このような社会に関して、この本には「学歴主義の社会」という表現が出てくる。

第二は、日本社会は学歴によって職業的地位が決まるという傾向を強くもつ学歴主義の社会ではあるのだが、その度合いは他の先進工業国と比べて突出しているわけではないということである。
(p.132-133)

基本的に日本人は学歴が好きだ。既に大学進学率の増加傾向は頭打ちになっており、高学歴化の傾向は見られなくなっているが、昔のような大学は学者になりたい人か金持ちの道楽だ、といわれていた時代から考えると、同世代の半数以上が大学に進学するというのは異常である。なぜこのような社会になったのか。次のような仮説が出てくる。

日本社会の高学歴化は、家計の経済的な負担の軽重を度外視した(主として親の側の)向学心、あるいは大衆的なメリトクラシーへの信頼によって成立してきたとみるのが有力な考え方である。
(p.118)

ネットでは生活保護でも大学に行かせたいという話題で盛り上がる。生活に困るような状況で、働いてお金を得るよりも学業を優先するという考えには、米百俵にも通じるところがあるのかもしれない。勉強して偉い人になる、お金持ちになる、という考え方根強いのかもしれない。

しかし、それはいろんな理由があって簡単ではない。具体的な理由は省略するが、この本は、その結果として高卒と大卒の間に壁があると主張している。

こんにちのあらゆる格差・不平等について、多くの要因が関与する構造があるなかで、もっとも影響力のある明確な境界線をひとつだけ挙げるとすれば、それは大卒/非大卒間の学歴境界線であると本書は主張しているのである。
(pp.252-253)

この本が書かれたのは2006年で、今はさらに少子化が進み、前述したような大卒・高卒の賃金が逆転するようなケースも見られるようになってきたが、これは大卒/非大卒という区切りを、ある程度のレベルの以上の大卒、のように絞ればいいだけなので、本質的な問題ではない。先日の書評でも述べたように、社会が大卒を評価するのは、その人が努力した、勉強したという事実を認めた結果なのだから、勉強しなくても入れる大学が出現すれば、大卒だというだけの理由で評価されないのは当然であろう。

ただ、この本はそれを指摘しているだけで、是非を主張しているわけではない。それは読む人が考えるべきことなのだ。



学歴と格差・不平等
吉川徹 著
東京大学出版会
ISBN: 978-4130501668

非亡伝

今回は全世界に出て行きます。既に背景となる世界が異次元感覚なので今更世界といわれても、という感じがしなくもないけど。出てくるキャラは四国編からリクルートした人達なので引き継がれています。安心感があります。あのヘンな魔法少女たちもちゃんと出てきます。

いろいろ面白いエピソードはあるのだけど、個人的に一番気になったのは些細なところで、土使いのスクラップこと好藤覧と火使いのスパートこと灯籠木四子がイギリスまで調査に出かけるときに直線移動したというところ。

日本からイギリスまで、トンネルを掘って到達したのである。地球を半周するような距離を掘削し、最短距離で…
(p.125)

豪快だね。地球を半周というのは厳密にいえば日本とロンドンの時差が9時間だから、0.375周って感じかな。トンネルを掘って地球表面上、いや、地球表面下を地上の建造物を無視して最短で掘った、ってことなのかな。モグラタンク的な。しかし東京でちょっと地下鉄のトンネルを掘るだけでも水が噴き出てきて大パニックになるのに、本当に大丈夫なのか、地底人との遭遇とかないのか、と思ったりしますが。

一路というなら、まさしく一路の、直線移動。
等速直線運動
(p.125)

マジ直線で掘るとマグマとか噴出してきそうで危険ですよね。ていうか、地球の半径は約 7000km で、本当に直線を引くと一番深いところは地球中心から約2800km、地表からは3100kmの距離になる。これはマントルを越えてコアの領域。これがコアか。熱いとかで済む世界ではありま温泉。

地下二千メートルに生じる『地熱』をコントロールして
(p.125)

2000m = 2km も掘ったら流石に温泉どころではなさそうだが、いや、結構深いところまで掘って出す温泉とかあったような気もするなぁ。石油は出てこないのだろうか、とかいろいろ妄想してしまうけど本編とは何の関係もないです。

この巻は全世界で調査してこいというミッションなのですが、捜査の基本はペアということで2人ずつ調査に乗り出します。最初に紹介した好藤・灯籠木ペアは2人とも天才的魔法少女という設定です。ていうより天災的な気もしますけど。この二人の天才魔法少女が超人のボス、空々上司を評して、

完璧主義者じゃないってことねー。強いていえば、不完全主義者かな?
(p.122)

これは面白いと思いましたね。私は無主義主義者を自称していた頃があったど、不完全主義者というのもいいな。完全な不完全を目指すんですよね。

ちなみに気になる魔女のかんずめちゃんとペアを組んだのが人類最強の天然少女、地濃様。うっかり「様」付けちゃったよ。付けたくなるよね。魔法が使えるとはいえ少女が海外にいきなり調査に行って、けいおん!!みたいなことにならないのか、ほにゃららラーニングとかやった方がいいんじゃないか、とか思うかもしれませんが、

それはディスコミュニケーション能力、あるいはアンチコミュニケーション能力とでも言うべきものなのかもしれないけど、現地の人間相手にも一歩も引かず、日本語と身振り手振りだけでぐいぐい行く彼女は、とうとうここまで、郷に入りながらも郷に従うことなく、己を貫いて、仕事を成し遂げていた。
(p.323)

そりゃ英語分からない日本人が変な英語使って会話しようとするよりは、アニメ好きで片言が分かる外国人でも探して日本語で押しまくった方が伝わるような気もしますよね。本当はテレパスなんじゃないのか。

この巻のお言葉からは、2つセレクトしてみました。

本番に弱いタイプって、いったい何に強いんだ?
(p.216)

リハーサルとかシミュレーションみたいな普通の反応でなくてうまくボケたいと思ったけど、何も思いつきません。追試とか。模試とか。

「出る杭は打たれる」というのはあくまで被害者側の言い分であって、大多数の人間は、「出る杭を打つ」側だ。
(p.454)

昔は打つ人も少なくて、大多数は傍観者だったのですけどね。見せしめの刑とか。生き埋めにしてのこぎりで切ってください、みたいな。「罪のない人だけが石を投げなさい」といったら集まっていた人達が一斉に石を投げ始めた、って何の話だっけ。ITが使えるようになって、杭を打つ人はとても多くなったようです。炎上の時代なのです。


非亡伝
西尾 維新 著
講談社
ISBN: 978-4062990615