Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

冒頭のシーン

今日は海の日だった。過去形にするにはまだ気が早いかもしれないが、今から海に行くというのはあり得ない。どうしてもというのならお台場にでも行けば間に合うが、間に合ったからといって意味があるわけではない。

昨日のテレビのクイズで、文学作品の出だしを見て作品名を当てるというのがあった。ただし、出だしの文は、文の最後から先頭に向かって表示されていく。早押しクイズである。

道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思うころ、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた。
(伊豆の踊り子川端康成)

これが、「麓から私を追ってきた」あたりでもう、伊豆の踊り子かな、と思ったのである。ところが、表示がどんどん進んで「雨脚が」あたりまで見えたところで自信がなくなって、これは違ったかなと思ったのである。天城峠まで来ても全く確信が持てない。

結局当たってはいたのだが、最後だけチラッと見たときの第一印象が伊豆の踊り子だったのに、全体を見たらよく分からないというのが解せない。最初のシーンをイメージで記憶していたのだろうか。