この本は正式に紹介していなかったので、書いておきます。「小さな会社を強くする会計力」。
小さな会社ということなら俄然興味がわいてきます。いろんな数字が具体的に出てくるのでヒントになります。
安定した経営のためには、まずは自己資本比率五〇%を目指すべき
(p.62)
目安としては、流動負債が二五%以内、長期の借入金が二五%以内ぐらいのバランスにするのが無難でしょう。
(p.77)
このような数字が出てきます。ちなみに弊社のようなマイクロ企業は誰も出資してくれないので、自己資本比率は異様に高いんですよね。しかし自己資本比率がよければいいというものでもない。
単に指標を紹介するだけでなく、理屈も出てくるので読みやすいです。途中に出てくる財務諸表の例と読み取り方は参考になります。
とある会社がオフィスの広さを倍に拡張したという話では、
何とか毎年八〇〇万円の利益を積み上げて自己資本を厚くする経営はできるようになった。しかし、これを今後も長く維持していくには、社員のモチベーションを高め、事業そのものも大きくしていかなければならない――そういう未来を先取りして、目に見える形にするために、あえてオフィスの広さを倍にした。
(pp.74-75)
このように、会計ではなく経営の話に踏み込んできます。もともと、この本のテーマは節税ではなく企業の健全化のようなことなので、例えば、借金の話とか出てきます。どうすればいいか店主が悩んでカリカリしていると、社内の雰囲気も悪化します。借金を減らすとそのようなギスギス感が減っていって、
小規模の飲食店では、そういう雰囲気の変化が売り上げに与える影響はバカにはできません。
(p.86)
借金が少ないから店主に余裕が出てくると、それが全員に影響するという話になっています。そんなにうまく行くのかという気もしますが、言っていること自体は説得力があります。
会社が自力で成長し、社会に受け入れられることで、経営者自身も豊かな人間性を身につけていく。
(p.88)
まとめると、税理士の助言次第で経営者も成長していく、という話ですね。
もっとも、税理士の前に、事業そのものをどうする的な根本的なところが問題なんですよね、弊社の場合。
小さな会社を強くする会計力
山下 明宏 著
幻冬舎新書
ISBN: 978-4344984974