Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

大摩のガロ (忍法秘話 壱)

何か雑記が続いているのでこれはいかん、ということで以前読んだマンガをちょっと紹介してみます。カムイ伝やサスケで有名な白土三平さんの忍者マンガから、小学館文庫の忍法秘話の壱、大摩のガロです。マンガじゃなくて劇画と言うべきでしょうか。

最近のアニメでは科学と魔法が混在していますが、忍法というのは和風魔法のような感じで、全くのデタラメというわけでもないし、じゃあ科学的かというと微妙に首を傾げるネタもありますが、それをリアルに見せるところが白土さんの作品の面白いところ。白土さん流の哲学というか「人生とは」的な話題がたくさん入ってくるので、その点も面白い。

この巻に出てくる話に、こんな話があります。

こんな話があるんだ……

あるところに
愛しあった男と女が
あった……

ふたりが一つになるこ
とをみんなが反対した。
よくあるやつだ。

ふたりは手に手をとっ
て逃げた。ふたりだけ
の世界をめざして……

だがはてしない海原は
つづいた………

幾日も幾日も…
その後そのふたりが
どうなったかだれも
わからんのさ………
………………………

「それで?」
「どうなったの。」
「さて私にも
わからん」

「ところで、あとでな
ある島に一つのいかだが
流れついたのさ。」

「いかだの
上には
たった
一つだけの
骨が
あったそうじゃ。」

「どうして?」

「ふたり
のって
いたんじゃ
ないの?」

「こわい
話じゃ
ろうが
………
わからんかな。」

「なんだか
わかん
ないや。」

「きみわりい
だけだ。」

(pp.170-171)

究極の選択ということでしょうか。想像はいくらでも広がってしまって、結局なんだか分かりませんが、人生がそういうものだと考えてみれば、やはり怖いです。


大摩のガロ (忍法秘話)
白土 三平 著
小学館文庫
ISBN: 978-4091921413