Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

雑記

今日はまたちょっと本を読みましたが、それは後日。最近、ちょっとめがねのズレ【謎】が大きくなってきて、そろそろ本気でフレーム調整しないとこれが悪影響を与えまくっているような気がしてきました。

眼鏡のフィット度はいろんな作業に影響するので、本当は新調したいところですが、そこは考え中です。

ペンギン・ハイウェイ

ということで、森見登美彦さんの、ペンギン・ハイウェイ

今日からアニメ映画が公開されています。森見さんの小説は基本的に実写化し難い内容のものが多いですが、この小説もかなり無理がありそうです。CGを使えばペンギンが空を飛ぶ程度はできるのかもしれませんが。ジャンルはファンタジーでいいでしょう。他の小説では和風の妖とか、キツネ的なモノとか、空飛ぶ天狗とか、そういう和風のモノが多いのですが、今回は洋風、あるいはSF的な感じです。

タイトルがアレなのでもちろんペンギンが唐突に出てくるのですが、主人公は小学四年生のアオヤマ君。小学生だがいつも何か研究していて、とてもロジカルな思考をします。父の三原則という問題解決のためのノウハウが出てきます。

□問題を分けて小さくする。
□問題を見る角度を変える。
□似ている問題を探す。
(p.71)

ページ数は単行本のページなので、文庫本だとずれているかもしれません。アオヤマ君の思考パターンはこれに基づいて処理されていきます。ペンギンの謎を、このメソッドで問題を分析して解決しようとするわけです。つまりこの小説は日々成長していく物語…かといえば、それほど最初と最後で変わっていないような気もしますが、こんな話もあります。

まず、問題は何か、ということをよく知らないといけない
(p.88)

問題解決の基本ですね。

他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことだ。
(p.3)

カッコイイですね。理屈っぽいアオヤマ君はこんなことも考えます。

生命はみんな、生命から生まれる。でも気が遠くなるぐらい昔にさかのぼると、どこかで、お父さんもお母さんもいないのに生まれた子どもがいるのだ。
(p.45)

徒然草に出てきそうなネタですよね。この少年に絡んでくるのが、お姉さん。お姉さんはこんなことをいいます。

でもまあそんな事実も、彼らの妙なかわゆさの前ではどうでもよくなるよ
(p.19)

これはカモノハシの話題になって、カモノハシがカモノハシ科カモノハシ属だと説明されたときの反応なのですが、どこかズレています。お姉さんの感性、人間バナレしていて、かなり壊れているようです。

そして、アオヤマ君はおっぱいに興味があります。

「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心がたいへん平和になるんだ」
(p.48)

「たいへん」とカナ書きになっているのは「変」という漢字を使いたくなかったのかもしれません。しかし平和になるという主張に対しては異議ある人も多いでしょう。で、おっぱいネタは最初から最後までとめどなくBGMのように出てきます。アニメが楽しみです。

SFなので科学的なネタも出てきます。例えば相対性理論。E=mc^2 という式が出てきますが、これについて、

ぼくは父に方程式の理論を教えてもらったことがあるので、この式の意味が分かる。小学校二年生の頃まで、「=」(イコール)は「答えは?」という意味だと思っていた。
(p.68)

理解というのは誤解の積み重ねのような気もしてきます。なお、プログラムを書き始めると「=」は「値を代入する」という意味だと思うようになります。

アオヤマ君はとにかくノートに何でも書きます。書く派です。

ボールペンでたくさんの文章を書いても手が疲れない。お気に入りのノートに何かを書くのはとても楽しい。
(p.86)

子どもの頃は鉛筆を使わされます。鉛筆は圧力をかけないとうまく書けないので、字を書くときに力を入れることになり、疲れます。ボールペンはそれほど力を使わずに書くことができます。楽です。特に最近の水性ボールペンはとても軽いです。私の場合、文章を書くときに使うのは万年筆です。万年筆はもっと力を入れずに書けます。ていうか力を入れるといまいちうまくありません。そういえば、昔の人は筆で字を書いていましたが、筆も力を入れませんね。筆圧は思考に影響するのでしょうか。

アオヤマ君の父親もちょっと変わっています。

「父さんはバス停で待っているときや、住宅地を歩いているときや、電車に乗っているときに考えごとをするんだって。そうするといい考えが浮かぶんだよ」
(p.160)

環境が変わると考え方も変わるそうです。とある実験で、試験を受けるときに監督の先生や教室を授業のときと同じにすれば得点が高くなる、という結果が出ています。これは、学習時に授業の内容と同時に背景的な状態が記憶されていて、思考時にその背景情報が影響したのではないか、という説になっているのですが、つまり、何の関係もなさそうなバックグラウンドが思考を左右する可能性があるわけです。

バグが取れないときに、ちょっと散歩すると分かるときがありますが、これは運動によって脳が活性化するからかもしれません。

最近、サマータイムの話題が流行中のようですが、

ぼくは朝の起きる時間を早くした。朝の五時に起きることさえあった。」
(p.186)

サマータイムのような面倒なことをしなくても、早起きすればいいだけのことのような気がします。酷暑の中で競技をするのが駄目なら、朝5時から競技をすればいい。話はどんどん飛びますが、

草原にトランプをならべて、雄大な神経衰弱をしたこともある。ハマモトさんはあちこちトランプをめくったあと、「神経が衰弱した!」と叫んでパラソルの下に寝ころんだりした。
(p.187)

そういうことを言うキャラは、いかにも森見ワールドのキャラっぽいです。個人的には神経衰弱というのは神経を衰弱させるのではなくむしろ神経回路の強化や最適化に役立っているような気がしなくもないですが。

「どこかにあるから大丈夫」
(p.212)

これは案外奥の深い考え方です。どこかにあるけど場所が特定できない状況は、どこにもない、のと殆ど似ています。シュレディンガーのぬこっぽい話でもあります。

断食するシーンが出てきます。

たいへんつらいところを通りすぎると、いったん楽になった。
(p.244)

これ、わかります。断食はしたことがないのですが、私は一時期昼食抜きの生活をしていました。最初は昼食抜きは辛いです。胃からどんなメッセージ物質が出ているのか知りませんが、脳に「オナカスイタ」というメッセージがばんばん飛んできます。しかし、2~3週間続けていると、これは無駄だと胃が諦めるのか、空腹感が弱くなっていきます。慣れてしまえばこっちのものです。

最後に、オチというわけではありませんが、

世界には解決しないほうがいい問題もある
(p.281)

ペンギンの研究は、実はその類の問題でしたが、

でも解決しないわけにはいかなったよ
(p.345)

そういうこともあるわけです。ということで、森見さんにしては、微妙なスッキリ感の残る作品なのです。ちなみに、アニメがどうなっているかは全く知りません。


ペンギン・ハイウェイ
森見 登美彦 著
くまおり 純 イラスト
角川文庫
ISBN: 978-4041005613

角川書店(角川グループパブリッシング)
ISBN: 978-4048740630

雑記

雑記が続いていますが、今日は「ペンギン・ハイウェイ」を半分程度読みました。書名を入力するときに「ハイウエイ」か「ハイウェイ」かちょっと迷いましたが、確認してみるとこの本は「ェ」ですね。ちなみに、前半を総括すると、おっぱい【謎】ですね。

劇場版のアニメは明日、2018年8月17日から公開です。

映画『ペンギン・ハイウェイ』公式サイト

 

雑記

今日は電車の中でちょっと本を読みました。何かというと、ソクラテスの弁明。ちょっと読むような本ではないような気もしますが。

トランプ大統領は小学生でも分かるような英語を使って大衆に情報を与えているといいますが、ソクラテスの弁明、実際にあんな難解な話をしたら、誰も理解してくれなかったのではないでしょうか。

送り火

2018年上半期の芥川賞受賞作。

主人公の歩は中学三年生。転校慣れしていて、集団にうまく溶け込むことができる…ように見えても、転校生としての立ち位置なんてのはいつも微妙なものである。転校した中学校は生徒が3学年全員で12人。この人数だと特定の集団に属するということは不可能で、強制的に集団に所属するしかない。危機的な状況下でも何とかうまくやっていくのだが、それは実に表面的なものであった。

男子の集団のリーダー格は晃。統率力があるというのではなく、発想が危ない。反発すると危ないから皆が服従することになる。この晃が、いじめられ役の稔を殴ってケガをさせたことがある。その理由が、

稔さ売店でコーラ買ってこいって命令したっきゃ、嫌だと答えたんだね。だはんで平手で打った。それでも従わねはんで、拳で殴った。それでも従わねはんで、鉄鋼でガツンさ。
(p.94)

意味がよく分からない。しかし晃の視点で見ると見えてくるものがあるのではないか。あるいは稔の視点であればどうか。この小説の読後感は、自分をどの視点に置くかで激しく入れ替わると思われる。

ストーリー中に燕雀というゲームが出てくる。花札の延長のようなものだ。これで勝負して、負けた人が罰ゲームをすることになるのだが、罰ゲームがかなりヤバい。

六本の試験官の一本に、硫酸が混じっている。燕雀でドボンになった者が、どれか一本の溶液を手の甲にかける。
(p.32)

もちろんこのようなゲームで負けるのは稔に決まっている。イカサマなのである。その後、実際どうなるのかは、ネタバレすぎるから今回は書かない。後味が悪いという人もいるようだが、多少は度胸があった方がうまく読めると思う。


送り火
高橋 弘希 著
文藝春秋
ISBN: 978-4163908731