Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。

今日もアニメを紹介します。「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。」。

勇者を目指していたら魔王が討伐されてしまって勇者の存在価値がなくなってしまい、勇者を目指していた主人公、ラウルは電気店の店員として働いています。そこに討伐された魔王の娘、フィノが就職する、というストーリー。

ファンタジーなのに設定が妙にリアルな話です。なろうとしたがなれない、というのはよくある話です。ちなみに電気店といっても、エネルギーは魔力という設定です。マジックショップでしたっけ。

近くに大手家電量販店が出来て顧客を取られてしまうとか、大手にはできないきめ細かい顧客サービスで生き延びる戦略を模索するとか、最初はしぶしぶという状況から、仕事をやるにつれて、やりがいとか楽しみを発見していくとか、ありふれたベタな設定で、特に目新しいものではありません。目新しいのは魔王の娘が店員をやっているという所です。

アニメではロアという技術者が出てくるのですが、現実世界の町の電気屋さんには修理力が高い店員さんがいるものです。そういう所がリアルとファンタジーで共有されているのは面白いと思いました。

ゴブリンスレイヤー

今日はアニメで「ゴブリンスレイヤー」。ファンタジー系。ラノベ蝸牛くもさんの原作、未読です。

冒険者ギルドでゴブリン退治ばかり請け負う男、ゴブリンスレイヤー。それと女神官のパーティーでゴブリンを退治していきます。ラノベは読んでないのですが、アニメのゴブリンスレイヤーの、「ああ」「そうか」「わかった」等、ボソっとした感じの喋り方が面白い。ギルドにいる魔法使いも喋り方が面白いです。ちなみに、ゴブリンスレイヤーが常に兜を被っているのは、殴られたら意識が飛ぶからだとか。

ゲームをやった人は分かると思いますが、ゴブリンは基本的に最弱のモンスター。初心者がボコってレベル上げに使うような相手ですが、このアニメでは結構な強敵です。単独では弱いのですが、集団で一斉にかかってくるし、たまにスゴいのが統率していたりするので、油断すると一瞬で負ける感じです。

ゴブリンスレイヤーは様々な方法でゴブリン退治をします。

想像力は武器だ。それがない奴から死ぬ。
(第2話)

強敵でないとしても、確実に勝つという条件が付いた瞬間に強敵になります。コンプリートを求めるのは、どんな世界でも難しいのです。

途中から仲間になるエルフ、ドワーフリザードマンの個性も独特で、会話は漫才のようで面白いです。

異世界食堂

今日紹介するのはアニメで、「異世界食堂」。

原作は犬塚惇平さんのラノベですが、未読です。アニメは2017年夏に放送されました。

日本の洋食店が土曜日だけ異世界との扉がつながり、異世界の客がやってくる、というストーリーです。客ごとに好きな料理があって、それが毎回細かく紹介されていきます。メニューもビーフシチュー、メンチカツ、オムライス、カツ丼などの超ポピュラーなもので、それを異世界人が感動して食べるというパターンです。

種族によって食べられないものがあって、

肉も魚も乳も卵も入っていない料理
(第4話)

のような指定で料理を作るシーンが出てきます。これだとベジタリアンですか。今の日本だとアレルギーで制限されたりするから案外作れるものなのかもしれません。

常連客はいつも同じものを食べているようですが、私も常連的に行く店だと、大抵、毎回同じものを注文します。最近はコロナの影響で行かなくなりましたが。

同系統のアニメとしては「異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~」があります。こちらは毎回、なぎら健壱さんがアニメに出てきた料理をリアルに出す店を紹介していて、そちらも何となく面白いです。

眠狂四郎虚無日誌

今日は眠狂四郎シリーズで、「眠狂四郎虚無日誌」。

シバレン、柴田錬三郎さんの作品。集英社文庫の上の表紙は、作品に出てくるお玉の裸体。お玉は家紋を入れ墨にしています。

右の乳房の上には降鶴丸、左の乳房の上には打出小槌、乳房と乳房のあいだに花藤、腹部には竜胆、三蓋松、鷹羽、菊水、抱茗荷など……。
(上、pp.286-287)

作中、葵の紋が彫られるシーンが出てきますが、なかなか痛そうです。

眠狂四郎といえば円月殺法、ムーンヒーリングエスカレーションでおしおきをすることで有名です【違】。どんなピンチでも諦めません。

本作品の眠狂四郎は、毒だと知っていてあえて飲んで死んでみたり、死んでから生き返ってみたり、いつもよりピンチな感じです。舞台は江戸、京都、蝦夷といったところ。アイヌが話に絡んできます。秘密を知られたので殺す、という流れはミステリー。柳生武芸帳のような緊張感が溢れています。

 

眠狂四郎虚無日誌 上
柴田 錬三郎 著
集英社文庫
ISBN: 978-4087441284

眠狂四郎虚無日誌 下
ISBN: 978-4087441291

桃太郎は盗人なのか?―「桃太郎」から考える鬼の正体

桃太郎というと、日本人なら誰でも知っている正義の味方です。個人的には般若の面を被って悪人の前に現れるイメージですが、それはさておき、この本は福沢諭吉芥川龍之介池澤夏樹高畑勲の4人が「桃太郎が悪い」と指摘していることから疑問を持ち、事実はどうなのかを小学生が検証していった、という内容です。

この本は、倉持よつばさんが、第22回「図書館を使った調べる学習コンクール」(主催:公益財団法人図書館振興財団袖ヶ浦市図書館を使った調べる学習コンクール」推薦作品)の《調べる学習部門》小学生の部(高学年)で「文部科学大臣賞」を受賞した作品を書籍にまとめ直したものです。
(p.142)

この本の視点は、桃太郎は善人か悪人か、というところに置かれています。個人的には、何で桃なのかというのが気になるのですが、それに関しては調べていないようです。ただ、初期の桃太郎は桃から生まれたのではなく、川から流れてきた桃を食べた老夫婦が若返って子供を産んだ、という話は紹介されています。

桃が不老不死の薬、のような話は中国ではあったような気もしますが、とにかく、なぜ梅でもキウイでもなく桃なのか、ということには触れていません。

蛇足すると、もう一つ個人的に気になっているのは、水カンの歌ではありませんが、なぜ桃太郎と犬、猿、雉という弱小・少人数パーティで鬼ヶ島という多数の強敵がいるホームに乗り込んで勝てたのか、ということです。実は大群で攻め込んだのか、あるいは最強の兵器を持っていたのか、実は鬼が数名しかいなかったのか、そういう所は謎のままのようです。

話を戻すと、この本では、

江戸時代から1892(明治25)年頃までは、桃太郎は宝ものを取りに行くために鬼が島に行った。つまり桃太郎は盗人であると言える。
(p.82)

と結論付けています。

何故桃太郎がわざわざ鬼から宝を盗もうと考えたのか。そして、もし桃太郎が盗人なら、唱歌の歌詞にあるように、桃太郎が宝を奪うことが絶賛されているのはなぜか。そこまでは考察は踏み込んでいません。このあたりは小学生には難しいことなのでしょう。世の中には裏があるし、裏にはさらに裏があるものなのです。


桃太郎は盗人なのか?―「桃太郎」から考える鬼の正体
倉持 よつば 著
新日本出版社
ISBN: 978-4406063890

この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる

今日はアニメ、「この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる」。オリジナルはラノベですが未読です。

ラノベやアニメには、タイトルがこの程度の長さのものが結構ありますが、最初の頃はインパクトがあるような気がしていましたが、最近は普通感しかしないですね。

ストーリーは召喚系。勇者を召喚するのは女神リスタルテ。人間の勇者を召喚して、魔物と戦わせるという世界になっています。神様と人間でペアを組んで戦うと言うのは、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」がそうですね。

リスタルテはステータスが最高の聖哉を召喚しますが、聖哉は「ありえないくらい慎重」という性格を持っていて、想定外のことを次々としでかします。例えばトーチが10本で足りるのに千本買おうとするとか、とても慎重です。

アニメの最後では、なぜ慎重なのかという理由が出てきて、ちゃんと筋が通っているようですが、この話、ファンタジー異世界召喚バトル物、というよりは、ざっくり言って要するにギャグです。面白いです。特に天使の表情がデフォルメされるシーンは、「天才バカボン」の後期で極端にデフォルメされるコマを想像させます。

キャラで面白いのは、聖哉に剣術を教える剣の神のセルセウス。聖哉にあっさりとレベルを超えられてしまった後は嫌がって逃げまくります。神様の威厳など微塵もありません。

もう一人、破壊の女神のアデネラ。聖哉に振られた後、完全に恨んで暴走するのが気持ち悪い(笑)。あと、変態の弓の女神、ミティス。とにかく神様が滅茶苦茶で面白いです。

くちなし

今日は、1月27日に紹介している「修道女フィデルマの挑戦」に掲載されている短編、「痣」を読み返しました。この作品は特にお気に入りで、たまに読み返しているのです。推理のプロセスがロジカルで、何か落ち着くのです。

そして、最近もう一冊、ちまちまと暇をみつけて読んでいるのは、綾瀬まるさんの「くちなし」。

今までになかった視点に仰天させられるような短編集です。1作目の「花虫」は、人間に花が咲くという話。その花は実は寄生虫、という怖い話なのですが、

本当のことを知ると世界が変わるよ。
(p.37)

このストーリー自体、本当のことを知っても否定してしまう、そのような矛盾・葛藤が描かれています。人生は不条理です。

2作目「愛のスカート」は、デザイナーのトキワが近所の奥さんにスカートを作るという話。トキワの元同級生、ミネオカという女性との微妙な関係が描かれています。二人が高校生の頃の会話。

「わかった。ミネオカは人に褒められるのが好きで、頑張るんだ」
(p.71)

ネットの投稿をみていると、誰かに褒められたいから頑張る、という人が結構目立つようです。大学に行くときにも、何か夢があるからというのではなく、親孝行という言葉が出てくるのです。勉強しても親が褒めてくれないからやる気をなくした、というような質問が投稿されます。そのような発想は、自分がやりたいからやる、という人には想像できないのです。

トキワはその「やりたいからやる」系の人なのですが、ミネオカの「褒められるのが好きで頑張る」という行動パターンに気付いて理解しています。そのあたりの微妙さが面白いのでしょう。

3作目の「けだものたち」は、人ではなく怪異になってしまう「けだもの」の話ですが、人間は誰でもケダモノなんだ、というような告発のような気もしてきます。

「あんたはすぐに自分の知らないもののことを、一部とか派手とか言って遠ざける」
(p.112)

小説中では「あんた」に限定していますが、この「あんた」が全人類を指しているようにみえてくるのです。

 

くちなし
彩瀬 まる 著
文春文庫
ISBN: 978-4167914714