Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

“文学少女”と死にたがりの道化

今回の作品も続編が出ているようですが、今のところ私はこれしか読んでません。いつか読みたいです。サクっと読めるような気もしますが。ラノベです。

恥の多い生涯を送ってきました。
(p.4)

私は太宰はあまり好みじゃないんだよね、理由はダサいから。でもこの本は太宰を読んでないと分からないかな。ダサいといいつつ結構深読みしてたりします、太宰。

主人公はどっちなんだろ、最初のセリフは謎の作家、井上心葉クン。自虐的少年です。この心葉クンがひょんなことで文芸部の文学少女かつ部長、天野遠子先輩に出会うところからストーリーが始まります。 遠子先輩は本を食べるんですよね。山羊座だっけ。

この本のびっくりはここかな。

わたし的に彼のベスト1は、「スノーグース」なの! 沼地の近くの灯台に住む孤独な画家ラヤダーと、傷ついた白雁を抱いて現れた少女フリスの静かで切ない魂のふれあい! お互いを深く優しく想いあいながら、決して言葉にはしない――!
(p.10)

The Snow Goose を読んでる人ってそういないと思いますが、ちなみに私は読みました。本の方です。和書も洋書も。さらに絵本があるらしいのですが、そちらは探しまくったけど未発見です。ちなみに、作者の Paul Gallico さんはポセイドン・アドベンチャーの原作を書いています。猫の話って何だっけ。

この二人がほのぼのとしているところに一年生の竹田千愛ちゃんが駆け込み訴えをし損ねてころんでクマパンツがまる見えになります。文庫本にはクマパンの挿絵はありませんが、マンガはちゃんと出てきます。

ちなみに小説には遠子先輩が脱ぐシーンが出てきますが、このあたり、マンガは期待【謎】しない方がいいです。 話を戻すと、千愛ちゃんの依頼で心葉クンはラブレターの代筆をすることになるのですが、ラブレターの相手を調べてみると、

片岡修二という人間は、弓道部だけではなくこの学園に存在していないのだ。
(p.79)

いきなり話がややこしくなります。その後はややこしすぎるので省略(笑)。 個人的には途中出てきたツンデレっぽい図書委員の琴吹ななせさんが気になるんだけど。


文庫本

“文学少女”と死にたがりの道化
野村 美月 著
竹岡 美穂 イラスト
ISBN: 978-4757728066

コミック

“文学少女”と死にたがりの道化 1
高坂 りと 著
野村 美月 原作
スクウェア・エニックス
ISBN: 978-4757525450

“文学少女”と死にたがりの道化 2
ISBN: 978-4757528079

“文学少女”と死にたがりの道化 3
ISBN: 978-4757531031

手詰まり感

今日で何日連続なのだろうか。3週間続けたら習慣になるという法則がある。そうはいっても、「いつか聴いた曲」のようなツイート感のあるテキトーな文章ならまだしも、このブログのような1冊まるごと評するような内容を書くのは流石にキツい。

雑誌で以前連載していたときのコラムは、4000文字弱で、1か月に1本でよかった。パソコン通信で書いてたときは書けないときのためにストックを持っていたが、今回は現時点でも過去に至っても、そのようなストックが殆どない。書けないとアウトという状態なので、連続投稿のために、こうやって雑記を交えている。

ネタがないわけではない。書こうとして手詰まりになっているのが、星野源さんの「いのちの車窓から」と、王城夕紀さんの「青の数学」。この2冊はかなり本気で書きたいのでかえって書けないというデッドロックの状態になっている。

大抵の本ならそんなに考えずに何とかなるのだが、何かこの2(3?)冊は、特にクオリティを下げたくない感じがしているのだ。

全然関係ないけど書けないのが、大学ランキング2108という本。大学のランキング系の本は何冊かあるが、この本はアナウンサーの出身ランキングとか、テレビドラマ、映画のロケ地ランキングとか、誰の参考になるのかよく分からないランキングが出ているのが面白い。ちなみにロケ地ランキングの1位は共立女子大らしい。


2018年版大学ランキング
朝日新聞出版
ISBN: 978-4022791511

精霊の守り人

今日は夏至らしいですね。東京は朝から雨でお日様が出る気配はありません。 今日紹介するのは、ファンタジーの名作「精霊の守り人」です。順序無視派の私にしては珍しく、ちゃんと1作目から紹介できました。 小説は1996年に単行本が出た後、守り人シリーズとして約10作品が出版されています。 名作というのは、ググってみると中学校、高校の読んでおけ100冊系のリストに結構入っているし、まあ読めば間違いないです。すごく面白いです。

アニメも放送したようですが、私は見てませんでした。チラっと見たような気もしてきた。ドラマもやってます。最終章は2017年11月放送予定だとか。

宿られた者が夏至まで生きのびて、宿ったモノをたすけられれば、その者も生きのびられるだろう。
(p.37)

ファンタジーです。女用心棒バルサはひょんなことで新ヨゴ皇国の第二皇子のチャグムを連れて逃亡することになります。このチャグムが宿られた者で、夏至まで生きのびたら Win、というシナリオになっています。 なので夏至の今日、慌てて紹介したわけです。関係ないけど。

逃亡というのは、狩人と呼ばれている追手が追いかけてくるのですが、カムイ伝みたいな強者…よりは少しランクが落ちるようです。 とはいっても強敵なので、逃げるときに足手まといになるのを避けようとして、バルサはチャグムに武術を教えます。どれぐらい修行したらバルサのようになれるかといわれて、二十年という返事。ちなみにプログラマーなら15年でなれます。すぐに追いつかれそうなのにそれじゃ間に合わないだろというのですが、

やってないよりは、やってたほうが、逃げられる可能性が増すってことだよ。
(p.180)

完成させる必要はない、1つでも単語を覚えていたら、それがテストに出るかもしれない、的な発想でしょうか

このストーリーで面白いキャラといえば、やはりトロガイですね。STAR WARS だとヨーダ役です。呪術師マスターです。 いろいろ魔法も使えるようですが。どんな人かというと、

あの人は、知っていることの十分の一も話しちゃくれない人だけど、危険があるなら、おれにちゃんとそういっていたはずだよ。
(p.230)

デキる人はどこでも寡黙なようですな。


精霊の守り人
上橋 菜穂子 著
新潮文庫
ISBN: 978-4101302720

偏差値40の受験生が3か月で一流大学に合格する本

いわゆる受験本なのですが、書いてあるメソッドは普通である割に、内容が異色です。ハッキリいえば不可解です。不可解だから面白いけど。

東大、京大は、努力だけではどうしても合格できない面がありますが、大阪大学以下なら努力すれば合格できる、というのが受験業界の不文律です。
(p.40)

そんな不文律があるとは知らなかったが、そんなに力いっぱい力説しなくても、どんな大学でもそこに合格できるだけの努力をすれば合格しますよね。

しかし、東大、京大が努力だけで合格できないというのが、私はにピンと来ません。著者達は受験業界を熟知しているから、もしかしたらどんなに努力しても合格しない人を大勢知っているのかもしれませんが。

実は、私は努力して東大、京大に合格しなかった、という人を1人も知らないのです。ここで努力というのは、高校3年間を毎日15時間以上、つまり殆ど1日中勉強という状態を意味します。そんな人がいるのかというと、私の同級生で2人だけいました。この2人は東大に現役で合格しています。また、知恵袋の投稿で「1日15時間しか勉強できなかった」というのを1度だけ見たことがあります。この人は京大に現役合格したそうです。ちなみに、目標は1日18時間だったと思います。

どんなに努力してもというのなら、少なくとも1日中勉強する生活を中高の6年間続けたのに落ちたという人がいないとおかしいと思うのですが、本当にそんなに勉強しても東大に入れない人がいるのですかね? 謎です。

ちなみに、この本のタイトルに「一流大学」という言葉が出てきますが、この本の一流大学というのは、中央大学文学部以上を想定しているようです。

中大ならバカでも3か月で合格できます
(p.48)

この3か月という根拠が謎なんです。いわゆる受験本には短期間で偏差値が上がるという触れ込みのものがありますが、何をどの期間やればどうなる、というような目安が図で書いてあるのが普通です。この本にはそういう話が殆ど出てきません。 誰でも3か月でできるのか、3か月でできる可能性がある人がある程度いるのか、たまたま3か月でできた人がいたからあなたも絶対にできるのか、そこもよく分からないのです。

こんな例は出てきます。

試験本番1か月前の12月の模試で、ホゲー君はなんと偏差値28だったのです。
(p.73)

しかしこのホゲー君は小学生で中学受験の話です。狙うのは啓明学園。この中学校のことは知らなかったのですが、ネットで調べると合格偏差値は40~44程度のようです。小学生なら、少し前にテレビでン週間の勉強をすればテストで満点は取れるようになるか、みたいなのをやってましたが、あれはよかった。

この節に出てくる戦略、戦術は一般的に使われている常識的なもので、納得力はあります。「受験とは満点を取るものではない」(p.77)などは、どの本の著者も言ってる話ですね。しかし、中学受験では、大学受験とは量も質も違うでしょう。 英単語とか3年分ちゃんと覚えている人はいいとして、サボりまくって何も分からないような人が3か月で大学入試の合格点が取れるのかな。 英単語の覚え方は具体的に出てきます。シス単や速読を買って、

一日200語ずつ、発音しながら覚えてください。英単語の暗記には、1日30分以上の時間をかけてはいけません。
(p.158)

10秒1単語のペースで暗記していくと30分で180語だから、それより速いペースですが、そんな速度で覚えられるものなのか。私は暗記は苦手なので歩き単語カードするような人なのでよく分からないです。

一日に1番から200番まで読み上げるわけですが、200番まで行ったときは、すでに1番の英単語が何だったかなど忘れているでしょう。それで構いません。
(p.158)

それで構わないのは構わないのですが、単に読むだけなのかな。覚えるのと読むのはちょっと違うと思うのですが。とにかく、これを6~7周というのです。ということは、2000語を10日で1周。6周だと60日。確かにこれは2か月で済みますね。

ちなみに、この著者の倉山さんは、

日本の大学は全部ゴミだと思っている
(p.103)

という考え方の人の持ち主なので、そういった前提で読んだ方がいいのかもしれません。いずれにしても、私にはこの本に書かれたやり方で3か月で合格するとはとても思えません。例えば、

過去問を見て、志望大学ではどういった傾向の問題が好まれているかを確認していく
(p.166)

こんなことを偏差値40の生徒ができるとは思えないんですよね。逆にいえば、偏差値40でもこんなことができるなら、そりゃ3か月本気を出せば何か起こるのかもしれません。


偏差値40の受験生が3か月で一流大学に合格する本
松原 好之、倉山 満 著
扶桑社
ISBN: 978-4594071400

Dr.福井の大学入試必勝の法則

いわゆる受験本、あるいは勉強法の本です。この種の本を一冊も持ってなくて、受験勉強のやり方がわからない、という人にはまずこれをおすすめします。

理由は単純で、安いから。1000円でお釣りがくる本って、案外ないです。 それで必要なことを短く要約して網羅しています。大学の選び方、赤本の使い方、受験科目の決め方、模試の受け方、いつ何をするかのスケジュールの見本。そして、各科目ごとに具体的にどの参考書をこのようにやれ、というレベルの細かい指示が出てきます。

必勝の法則というタイトルだけに、これをこの通りやれば確かに必勝できそうな感じはしますが、そこは裏返すと、これを書いてある通りにやるのは結構厳しいぞ、という感覚も持って欲しいと思います。

ところで、知恵袋とか見てると、受験は地頭だとか、一流大学は地頭が良くないと無理、みたいな投稿がたくさん出てきますが、そういうのを言ってるのは高校で勉強サボってマーチにもひっかからない人だけなんですよね。福井さんは東大卒で医師なので、医学的に簡単に言い切ってくれます。

医学的な見地から見ると、人間の運動能力にはかなりの個人差があるが、頭のキレや記憶力にはほとんど個人差がないと言ってよい。では、なぜ偏差値は個人差が大きいかというと、それは勉強時間が多いか少ないかによるのだ。
(p.8)

医学的な見地というのは、エビングハウスさんがアレを実験してから今まで、大勢の研究者が実験したわけですが、その結果、個人による記憶力の差はそんなにないと実証されたのです。 いやでも待てよ、記憶力のいい人と悪い人って実際いるじゃないか、と思う人はたくさんいるでしょう。 確かに私の周囲にも、何でもすぐ覚える人と全然覚えない人がいます。何でそんな差が出るの?

そう、福井さんが書いた通りです。勉強時間が多いか少ないかなんです。暗記だって勉強の一種です。今でしょ!の林先生、テレビで活躍中ですが、何でもよく覚えているようですね。あのレベルだと地頭がいいのかもしれませんが、ご本人は1冊の本を何度も読むといってます。何度も繰り返す、これがポイントで、暗記が得意な人というのは、要するに繰り返す回数が多いのです。だからよく覚えているという単純な話です。暗記が苦手という人も、同じだけ繰り返したら覚えるはずです。

もう一つコツがあります。分からなくてもまず考えるのです。

まず最初は解答を隠して5分間ほど考えてみよう。しかし、5分ほど考えてわからなかったら、サッサとあきらめて、解答を見ること。
(p.66)

考えて分からないと頭がモヤっとしますよね。ビリギャルにはスポンジ状態と書いてあったと思います。この状態にしてからスッキリ分かったという状態を経由して覚えると、脳が強烈に覚えようとするのです。クイズでも間違えた問題の答をかえって覚えていたりしますよね。

先日紹介した「偏差値29からの東大合格」は、考えないでいきなり解答を見るやり方です。このやり方は珍しいですけど、5分を節約した代わりに、何回も繰り返すようです。

なお、この本は全部で128ページと短いので、あまり細かい話は書いてありません。改訂版といいつつも、出てから5年ほどになるので、それ以降の参考書は出てこなかったりします。やる気があるのなら、他の受験本も併用するのがいいと思います。


Dr.福井の大学入試必勝の法則
福井 一成 著
ライオン社
ISBN: 978-4844045236

会議でスマートに見せる100の方法

会議ってのは基本退屈ていうか、2対8の法則に従えば、8割の参加者においては意味なく時間を潰すためのものだが、かといって寝ていたら査定にも響くので、会議をうまくやり過ごして高い評価を印象付けたい。そういう人におすすめなのがこの一冊。

とはいっても、内容的にはどちらかというと管理サイドが使って役立つ裏技満載なのかな、例えば、

No.35 ひとの報告をさえぎり、その後、再開させる(カニエ・ウェストみたいに)
(p.77)

誰?

有名な人【謎】らしいが、それぞれ具体的な言葉が書いてあるのが、とっても親切。

アンソニー、ちょっとストップ
ねえみんな、
アンソニーが私たちの
四半期目標について報告するから、
ちゃんと聞いてね
じゃあアンソニー、続けて
(p.77)

何か聞いたことあるような気がするあなた、ヤラれてますな。

No.57 「いい質問だ」と言って質問に答えない
(p.107)

ナイス質問ですね。しかしこの人、こんな本を何で書いたのか。それが巻頭に書いてあります。

原稿料をもらえるからだ。もっと言えば、締め切りがあるから。
(p.8)

そりゃそうだけど、この種のベクトル変換的な小技はこの本には見当たらないようだ。残念。


会議でスマートに見せる100の方法
サラ クーパー 著
ビジネスあるある研究会 訳
早川書房
ISBN: 978-4152096579

ジョニーは戦場へ行った

第一次世界大戦、ジョニーは戦場で爆撃を受ける。

どこかでわめき声がし、彼は退避壕に飛び込み、何もかも見えなくなり、彼は時を失った。
(p.144)

一命は取り留めたが、代償として両手両足と視力と聴力を失い、口をやられたので話もできなければ食べることもできない。鼻もやられて臭いが分からない。それは幸いと表現してよいのだろうか。しかし臭いが分からないのは幸運だという。

寝たまま、腐って行く自分の身体のにおいをかぐのはやりきれない。
(p.106)

そうせずに済むから、というのだ。

もちろん、この小説のテーマは戦争である。昔の戦争は、領土を拡大して富を奪い取るためにやった。今の戦争は平和自由のためにやっているのはご存知の通り。

間違っている。自由のために戦場におもむき、最前線の塹壕に入り込むものはみんな馬鹿者だ。
(p.128)
そしておおぜいの男たちが死んだ。五百万、七百万、一千万という男たちが出かけて行って死んだ。世界の安全をはかる民主主義のために、死ぬ直前でさえそのことをなにも感ずることなく、世の中の安寧を保つということのために死んでいった。
(p.135)

恐ろしいことにジョニーは意識がはっきりしている。モンテ・クリスト伯に出てくる老人は、まばたきをして意思を伝えることができた。ジョニーは目をやられているからそれすらできない。あるとき名案が閃く。

彼はいまでもモールス記号を覚えていた。
(p.182)

その昔、インターネットなど気配すらなかった時代に、遠くの人と情報交換するためには無線機を使った。最も単純な構造の無線機は、電波を出す、出さない、その2種類の状態によって文字を伝えた。これがモールス信号である。デジタルである。これを使えば、指一本でトントンと机を叩いて会話ができる。ジョニーに指はないが、頭だけはわずかに動かすことができたのだ。

まず手始めに、彼は枕から頭を挙げ、上げた頭をまた下ろしてみた。
(p.182)

しかしこれが意図的な情報発信であることに誰かが気付いてくれるまでには、長い時間がかかる。

最後には聖書のシーンが出てくる。イエス誕生のところ。戦争とクリスマスが似合うのは何とも皮肉な話だ。ついにモールス信号に気付いた人がジョニーの信号に応答する。その返事は、WHAT DO YOU WANT。


ジョニーは戦場へ行った
ドルトン・トランボ 著
信太 英男 訳
角川文庫
ISBN: 978-4042292012