Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

雑記

今日はいろいろやることがあって、銀行に行ったり、散髪に行ったりで、本を読む暇もなかったはずなのだが、実は2冊読んでるというのはおいといて、山田風太郎さんの「戦中派焼け跡日記」をちょろちょろと読み進めているので、そこから1つ紹介したい。

激変の凄じさを血と共に知り心魂に徹して知った人間は、人間には常に幾つかの路があり、絶対唯一の路などはないことを知っているのである。
(p.51)

ところが集団心理とかいうのがあって、マスコミがこうだといえば皆がそうだそうだとその道だけを進もうとする。これも人間。

 

ことばの国

基本的に言葉遊びのエッセイ的な小話を集めた本。いろいろおこだわりするネタが集まっている。最後の方に出てくる敵性語ネタの「言葉の戦争」のグダグダぶりは圧巻だが面倒すぎて引用する気になれない(笑)。

言葉遊びというのは、例えば「手垢のついた言いまわし」で「ネコの手も借りたい」という言葉がやり玉にあげられている。やり玉にあげる、というのも手垢がついているかな。ネコの手が借りたいシチュエーションとして例示しているのはコレ。

手抜き仕事を平気でやる抽象画家
(p.68

この職業ならネコをこう使う。

そこに絵具を塗ってキャンバスの上を走りまわらせればいい
(p.68)

つまりネコの手に絵の具を塗って走らせたら借りたことになる、というのだが、それは手じゃなくて足じゃないか、と揚げ足を取ってみたくなる。

時候の挨拶も一言いいたい。

この、八百屋の店先シリーズは応用範囲が広い。筍ではなく、空豆、栗、梅、などを入れても、それぞれの季節感が伝わる。ただしここに、キューリやトマトやイチゴを入れてはいけない。今はそんなの、年中あるからである。
(p.84)

筍や空豆だってかなり怪しいような気がしないか。栗とか梅のような木の実系はまだ季節感があるかな。スイカも大丈夫だろう。最近よく分からないのがサンマ。一年中あるような気がするのだ、サンマ定食とか。

「使用禁止ことわざ辞典」は、なかなか目の付け所がシャープで面白い。

雀百まで生きるわけない
(p.145)

ですよね。しかしスズメの寿命が何年なのか知らないぞ。死体も見たことないし。カラスは死ぬと消えるのでしたっけ。

糠に釘
(p.150)

ん、これは正しいのでは、と思ったら語意が、

それをしないと、ナスが色よく漬からない
(p.150)

と書いてあった。いや、それも正しいような。

昔取った篠塚
(p.155)

これは私は昔から「昔打った篠塚」として使っていたネタに酷似しているようだが、最近の若い者は篠塚さんを知らないだろう。

餅は餅や
(p.157)

これは独自にどこかに書いた記憶があるのだが、どこだか分らなくなったぞ。確か「そらそうや」と続けたはずなのだが…。

流行に対する矛盾の指摘は超同感だ。

流行というのは実にややこしい概念で、新しいものほど格好よく、みんなが真似したくなるものでなきゃダメだが、みんなが真似した時にはもう古いという、矛盾した概念なのである。
(p.188)

株とかFXとかビットコインみたいなのが、同じ性質を持っているから、誰かプロが本気で解析しているような気がする。

話のストーリーとはあまり関係ないけど、

ちょっと待て。みんな、いっぺんすべてを忘れて白紙に戻れ。
(p.199)

この言いまわしは何かと使えそうな気がする。いい表現だ。

この本、たまに死語…とまでは言わないが、ジェネレーションギャップで伝わらないのではないか、という言葉が出てくる。旬のネタを仕入れた場合には避けられない事故だ。

ドレスとは、ウインクが着ているような服、
(p.204)

こういうのは通じるのかどうか怪しい。私は分ったけど。


ことばの国
清水 義範 著
集英社文庫
ISBN: 978-4087480764

向日葵の咲かない夏

ミステリです。解説の千街晶之さんは「好き嫌いの分かれる小説」と評していますが、同感です。しかも私は好きでもないし嫌いでもない派であります。

主人公のミチオは小学4年生。友人のS君に夏休みのプリントを届けに行くのですが、S君の家に行ったら、S君は首をつって死んでいました。その死体が消えてしまって、話が大展開していきます。

登場人物がかなり個性的、というかヤバいです。目を離したら崖から飛び降りそうな感じの人がわんさか出てきます。ミチオもそれはそれで危ない感じがしますが。

何かをずっと覚えておくというのは大変なことだ。しかし、何かをわざと忘れることに比べると、大したことはない。
(p.93)

犬や猫の死体が発見されるという伏線がでてきますが、死体の関節が逆方向に曲げられていること、口に石鹸が押し込まれていること、その理由が最後にちゃんと出てきます。一応納得はできますが、石鹸というのはなかなか面白いアイテムですね。

次に紹介するのはS君の言葉ですが、そうそう、S君は話の最初にいきなり自殺しているわけですが、それが途中で輪廻して蜘蛛の姿になって出てきます。生まれ変わりというのが一つのテーマのようです。

人間、一度こうだと思い込んでしまったら、なかなかその考えを変えることはできないからね。
(p.123)

だから人を信用するな、という話になりますが、思考が硬直するとなかなかコリが取れない。誰にでも経験がありそうなことです。生まれ変わりというテーマは、読んでいる途中では結構騙されてしまうのが面白いです。

向日葵の咲かない夏
道尾 秀介 著
新潮文庫
ISBN: 978-4101355511

さがしもの

「さがしもの」を読み終わった。先日紹介したように、本が出てくる本。短編が9作入っている。メディアファクトリーから出ていた「この本が、世界に存在することに」を改題した、と巻末に但し書きが付いている。

最初の話「旅する本」は、古本屋に売った本が何度も別のところで出てきて買い戻してしまう。そしてまた売る。夜は短し歩けよ乙女で、子供のときに持っていた絵本が戻ってくる話が出てくるが、私の場合、まだ売った本を再発見したことはない。

「引き出しの奥」という話にも古本が出てくる。こちらの古本は伝説の古本と呼ばれていて、

裏表紙に書きこみがいっぱいあるんだって
(p.129)

この書き込みが何かという議論になる。私は参考書を古本屋で買うことがあるが、安売りの参考書に書き込みがあることが多い。何でこんな所を間違えるんだというような所に書き込んであったりして面白い。

「ミツザワ書店」は昨日紹介した文が出てくる作品。文庫本の巻末の「解説――人間は本を読むために生まれてきた動物」(pp.230-236)を書かれている岡崎武志さんが、解説中で同じところを引用している。やはり「開くだけでどこへでも連れてってくれるもの」というフレーズの持つ共有感がそうさせたのだろう。

「さがしもの」は、余命短いおばあちゃんに頼まれて本を買いに行くが見つからないという作品。おばあちゃんは家族が急にやさしくなって、それに気が付いてしまう。でも気付いている素振りも見せないのが流石だ。

ねぇ、いがみあってたら最後の日まで人はいがみあってたほうがいいんだ。
(p.179)

これも日々是好日なのか。私は入院中のおばあちゃんに本を頼まれたことがあるので、それを思い出した。もっとも私の場合は、本は簡単に見つかったのだが。

 

さがしもの
角田 光代 著
新潮文庫
ISBN: 978-4101058245

雑記

今日もまとめるヒマがないので、「学生時代に何を学ぶべきか」から、白石冬美さんの「好きなことをみつけるために」に出てくる文を紹介。

本を読んで下さい。いっぱい読んで下さい。本は魔法の絨毯です
(p.74)

本を読みなさいとアドバイスする人は結構いる。私もそうなのだが、なぜ本なのか。並行して読んでいる角田光代さんの「さがしもの」には、こんな文が出てくる。

だってあんた、開くだけでどこへでも連れてってくれるものなんか、本しかないだろう
(p.164)

こちらは本屋さんのおばあさんのセリフなのだが、うまく表現してくれていると思う。魔法の絨毯というのも空を飛べる感があっていいけど。

ただ、今だとネットサーフィンという手もあって、本にこだわる必要はあるのかという気はする。動画は駄目だけど、テキストならどうだろう。

学生時代に何を学ぶべきか

今日もグダグダなのでパスしたいのだが、昨日ちょろっと出してみたアレからいくつか紹介してお茶を濁しておきたい。

この本は、いろんな人が学生時代はああだこうだと意見を寄せていく感じの構成になっている。

まず、学生時代に何をすべきかについて、

学生時代には何をやってもいいし、何をやらなくてもいい。責任は全部自分にかかってくるのだから。
(「認められなくても」、立松和平、p.3)

何でもいいといわれたらあまり参考にならないような気もするが、学生はこうあるべきとか決め付けるのも考えてみればおかしい。大学は勉強するところというのは正論だが、それに縛られると辛くなってしまう。

 楽しむということ――学生時代、勉強や試験にたいしても、こういった精神状態を保ったらいいのではないか。
 この試験に失敗したら後がない、大学入試や入社試験で人生が決まる等と考えるから、入試地獄なる言葉も生まれるのだ。硬直した精神状態では、楽しむという軽やかさは生まれない。
(「ゲームの精神」黒川紀章、p.13)

楽しむというのは人生の極意だから、もちろん学生時代も楽しむべきなのだ。就職の前の単なる通過点とするのはもったいない。就活で何社、何十社も回って内定が取れないというような話もあるけど、そういうのだって楽しんでしまえばいい。

こんな感じで、いろんな面白い意見が出てくるので、知恵袋の回答でたまに引用させていただいたりしている。

 

学生時代に何を学ぶべきか
講談社 編集
ISBN: 978-4062038959

雑記

今日も風邪らしいのでパスします。ちなみに、今日ちょっと読み直していたのが「学生時代に何を学ぶべきか」で、この本の中に、大学に何を学ぶかというテーマでいいことが書いてあった記憶があるのだが、それがどこに書いてあるのか分らなくなったのです。3度読み直していますが、まだ見つかりません。一体どこにいったのでしょうか(笑)。