Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

庭師の娘

今日の本はジークリート・ラウベさんの「庭師の娘」。

ジャンルは青春小説でしょうか。1768年2月から12月までの様子が描かれています。11月だけないのが何となく気になりますが。

主人公は庭師になりたいと思っているマリー。親はマリーを修道院に入れて看護師にしたいと考えていて、親子の話がかみ合わない状態です。

「本気でなにかがしたければ、それがかなうように努力しなさい。人生は短いものよ。がまんできないことをして過ごすのは、もったいないわ」
(p.120)

シュタルツァー夫人が庭師になりたいというマリーにかけた言葉です。この時点でマリーはちょっと諦めかけています。

ヨーゼフ・シュタルツァーは実在した作曲家ですが、この小説には子供時代のモーツァルトが出てきます。モーツァルトは1756年生まれなので、小説の1768年は12歳の少年。オペラを作曲するシーンが出てきますが、宮廷の人間関係がドロドロしているのも何か面白いです。

この小説には庭師の親娘が出てくるということで、花がたくさん出てきます。これをイメージできるかどうかで、面白さがかなり変わってくるでしょう。

デルフィニウムにラベンダー、ナデシコ、ゼニアオイ、フロックス、フクロソウ。
(p.131)

フクロソウはゼラニウムのイメージですね。

今日の一言は、メスメル博士からマリーへの言葉で。

人は、自らの手で物事をつかまなくてはいけないのだよ。
(p.57)


庭師の娘
ジークリート・ラウベ 著
中村 悦子 イラスト
若松 宣子 翻訳
岩波書店
ISBN: 978-4001156614