Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

勉強できる子は○○がすごい (2)

今日の本は「勉強できる子は○○がすごい」。つづくと前回書いて放置してしまったので、書きかけ原稿からネタを引っ張り出して書いています。

この本には、知恵袋でFAQになっている諸問題に使えそうなネタが結構出てくるので、いくつか紹介してみます。

まず、線を引くべきか、という話題から。

教科書や参考書の重要な所には線を引いた方がいいか、という永遠の question です。知恵袋ではマーカーや下線を引いても意味がないという意見が多いような気がします。

線を引くという行為そのものが、学習を深める効果をもつ
(p.107)

微妙なニュアンスです。ただ、少し分かるような気がします。線を引いている時に勉強しているという実感があるのです。ただ、本当に力になっているのか、という問題はあると思います。

最近の参考書は最初から線が引いてあったり、とてもカラフルだったりするので、線を引いても目立たないこともあります。昔の参考書は今ほど色が使われていなかったので、マーカーを使うと目立ってくれました。調子に乗って全部引いてしまうと目立たなくなるので無意味になってしまいます。

個人的には、線を引くのは「意味がある」派です。理由としては、そこを一度は読んだということが分かるからです。一度読んでいるのに全く覚えていなかったら要注意ということです。ただし、実は、自分自身は殆ど線は引きません。

次に、ノートのまとめに関して。

このように要約する作業は、読解力を高める訓練になり国語の勉強になるだけでなく、社会や理科、算数といった他教科の解説を理解するのにも役立つ。
(p.110)

参考書は国語で書かれているので、国語力を上げておくことで全教科に効果がある、というのが定説です。ていうか当たり前ですね。全部英語の教科書でない限り、意味はあるはずです。要約という作業は読み込む力の訓練になります。

ネットでは、まとめノートは写経になるだけで頭に入らないから意味がない、という意見が圧倒的に多いです。ちなみに「ようこそ実力至上主義の教室へ」には授業のノートを取らない勉強法が出てきます。

個人的には「ノートは取れ」派です。ただし、教科書、参考書、黒板を見ながらではなく、覚えてから思い出して書かないとダメです。

本書では、ノートに関して次のような指摘があります。

事後ノートの記述量が多いほど成績が良いことがわかった。また、内容を図解するなど、図の使用頻度が高いほど成績が良かった。
(p.112)

ノートすら書かない人よりもノートを書いた人の方が成績がいいのは当然のような気もします。前述したようにノートに書かずに頭に入れる、という人は現実的にはレアでしょう。ただ、図に関しては、因果関係は慎重に判断する必要があるでしょう。成績がいい人でないと図が書けない、ということはあるかもしれません。

まとめ直したノートが後で役に立つというだけでなく、ノートをまとめ直すことによって理解が促進される。
(p.113)

単に写すのではなく、脳内でコンパイル【違】のような処理が入れば意味がある、という感じかもしれません。

もう一つ。暗記はいつやるべきか、という FAQ について。これは寝る前がいいというのが定説ですが、この件について実験結果が紹介されています。寝る前に暗記して、翌日の寝る前にテストする。夕方に暗記して、翌日の夕方にテストする。暗記してからテストまでの時間は同じですが、比較した結果は、

寝る直前に覚えた方が成績が良いことがわかった。
(p.152)

覚えた後に脳に入って来る情報が少ないから、という説明になっています。脳内の作業用メモリーが足りなくなると、上書きしてしまうのだと思います。

(つづく)


勉強できる子は○○がすごい
榎本博明 著
日経プレミア
ISBN: 978-4296114320