Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

なぜ日本企業はゲームチェンジャーになれないのか イノベーションの興亡と未来

今日の本は「なぜ日本企業はゲームチェンジャーになれないのか」。

日本人は型を崩すのが下手だから、という指摘があります。これは一理あるというか、形から入るというのは確かに日本人的な発想です。

文系と理系を分けてしまう教育システムに関係がある
(p.044)

文系は文系の科目だけ分かればいい、みたいな誤解があるという話のようですが、個人的にはもっと根深いというか、最大の問題は高校が大学入試のための勉強をするシステムになっている所だと思います。本来は、大学というのは高校の課程を全てクリアしたという前提で行くべき場であるべきで、そこに至るまでは広範囲の知識を頭に叩き込んでおくべきだと思うわけです。

面白いと思ったのは、植物工場の話題。

LEDをはじめとする光源技術の革新が太陽光よりも安定した日射量をもたらした
(p.091)

これはなかなか素晴らしいことです。安定した生産が難しい、というのが農業の弱点だったので、天候に依存しない生産が可能になれば、いろいろな問題が改善できる、まさにイノベーションですね。

2021年にノーベル賞を受賞した真鍋さんの記者会見の話。

「日本の人々は、いつもお互いのことを気にしている。調和を重んじる関係性を築くから」
(p.237)

これに関しては最近崩れてきていると思います。つまり、自分勝手に行動する人が増えました。

例えば、私の記憶では、10~20年前の東京では、電車のドア付近に立っている人は、ドアが開いた時に一旦外に出て、降りる人のために道を開けるのが当たり前でした。今は殆どの人がその場に立ったままです。ドアの正面にいても動かない人が多いのです。実際「俺、降りない派なんだよね」と言う人を目撃したことがありますが、降りない派の人は急増しました。

イノベーションを起こす可能性を秘めているのは、いわば「ルールに疑問を持つことができる」フォワードです。
(p.242)

法律が足かせになっている、という指摘もよくあります。ルールに疑問があっても破れないわけです。


なぜ日本企業はゲームチェンジャーになれないのか イノベーションの興亡と未来
山本 康正 著
祥伝社新書
ISBN: 978-4396116606