Phinlodaのいつか読んだ本

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新・学生時代に何を学ぶべきか (8)

今日は引き続き「新・学生時代に何を学ぶべきか」から紹介します。

一人目は神津カンナさん。

人間というのはね、迷い、悩み、苦しんで、あたかも停滞しているかのように思う時こそ、実は大いなる成長を遂げているのです。
(神津カンナ「履歴書に書けない宝物」、p.205)

脳は「考える」という処理をするところなので、考えることで成長するわけです。迷ったり悩むというのは脳をフル回転する処理なので、その結果脳内のデータがいろいろ変化するのでしょう。ルーチンワークとしてあまり考えずに日常的に行っている作業の場合、そこにあまり成長要素はないのでしょう。

次は北村邦夫さん。

「たった一人しかない自分。たった一度しかない一生。だから自分の納得した生き方ができるように」
(北村邦夫「自分のできることを、やれるときにやれ!」、p.223)

納得とサラっと言ってますが、納得した生き方って結構難しいですよね。むしろ納得できないことが常時発生します。世の中は理不尽なのです。

ただ、見方を変えると、納得というのは結局自分が納得したと考えたらそれだけでクリアできてしまう話なので、納得スキルを身に付けることができたら簡単に「納得した生き方」ができてしまうような気もします。

木村晋介さんの意見は、青年よ荒野を目指せ的な感じ。

親もとでぬくぬく生活しようなどという半端な精神では難関は突破できない。
木村晋介「自分たちの作った時代」、p.228)

だから学生時代に仲間と共同生活を始めた、という話が続きます。ちなみに私のイメージの学生生活というのは、めぞん一刻の五代くんなんですよね。キツい生活です。

自分自身、大学に入ってから親元を離れて生活しているのですが、お金が足りなくなったりした時点で難関突破どころではありません。まず生活費を何とかする行動が優先です。いや、それが難関なのかも。結局、それでも何とかなるという余計な経験を学生時代に学習しました。余計な知識かもしれません。

若者にとって、生来の家族という群を出て、別の群の中に生きる。ということは、それがどんなものであれ自立にむけて何かをもたらすだろう。
(p.229)

それは確かに一理あります。めぞん一刻のあの環境だと、ちょっともたらし過ぎのような気もしますが。

群の中に入るのなら学生寮に入るのもいいかもしれません。寮生活は経験がないので実際どうなのかよく分かりませんが。タイムワープできたらやってみたいことの一つですね、寮生活。

今日の最後は水口博也さん。

わたしたちの「知」を特徴づけるのは、直面する問題にあたってその解決の術を過去の経験から類推し、洞察し、その先を予測する能力である。
水口博也「一人で思索する時間」、p.233)

問題解決能力というのは現在与えられている条件から正しい static な結論を導くだけではありません。未知の問題に遭遇したときの未来予測こそが本当に必要とされているのです。

まだ続きます。

(つづく)


新・学生時代に何を学ぶべきか
講談社 編集
ISBN: 978-4062089722