Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

音楽心理学ことはじめ 音楽とこころの科学

今日の本は「音楽心理学ことはじめ」。

音楽と心理学といえばモーツァルトを聴きながら勉強する話が有名だと思いますが、ちゃんとその話も出てきます。

モーツァルトを聴いて十〇分から一五分以内にその課題を実行した学生たちは、リラックスしたり静かに座っていたりした学生たちよりも空間推理の得点が高かったのです。
(pp.17-18)

ショパンやベートーベンではダメなのか、というのが個人的にはかなり気になるのですが、なぜかモーツァルト人気が絶大なんですよね。音楽でリラックスできるという効能は俗説としても広く浸透していると思います。自分で経験した人も多いのではないでしょうか。

GEBを紹介したときに、こんなことを書いています。

ふ「長調は明るく感じられ、短調は暗く感じられるのはなぜか、というネタはプログラマーズフォーラムでも出ましたね。なぜでしたっけ?
(ゲーデル,エッシャー,バッハ あるいは不思議の環)

これに近い話ですが、こんなネタが出てきます。

西洋文化にほとんどさらされたことのないアマゾンの孤立した社会のチマネ族は、協和音と不協和音を等しく楽しいと評価することが示されました。
(p.36)

メジャーコードとマイナーコードではないですが、不協和音を「楽しい」というのは何か個人的には違和感がありますが。物理的には割り切れない組み合わせの音が出ているのですから。もっとも、きれいにハモったら美しいと感じるか、それとも汚いと感じるか、そこは選択の自由が働く余地があるかもしれません。

BGMを聴きながら勉強するのはいいことか、悪いことか、というのが某所で最近(昔から?) FAQ なのですが、BGMの効果について、

音楽と健康のとても基礎的なつながりは、バックグラウンド・ミュージックの流れる新生児集中治療室 (NICU) の赤ちゃんは、よく食べ、あまり泣かず、よく眠り、バックグラウンド・ミュージックのない集中治療室の赤ちゃんよりも、入院日数が短くてすむ
(p.48)

という報告があるそうです。耳から音楽情報が入ってくるので脳がそれを処理するのに手一杯、…耳一杯? みたいなことなのかもしれません。

今日の一言はこれで。

人は同じ曲の演奏を二つ提示されると、二番目を好む傾向にあります。
(p.115)

カラオケバトルでは2人目が有利、みたいなことでしょうか。


音楽心理学ことはじめ 音楽とこころの科学
エリザベス・ヘルムス・マーギュリス 著
二宮 克美 翻訳
福村出版
ISBN: 978-4571210426