Phinlodaのいつか読んだ本

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新・学生時代に何を学ぶべきか (3)

今日は引き続き「新・学生時代に何を学ぶべきか」から紹介します。

大学を自分探しの場として活用しろという人は割といます。中には「ハチミツとクローバー」のように本当に自分探しの旅に出てしまう人もいます。

本や映画、ニュースを解説ぬきでみて自分の感じたこと、考えを書きとめる
(海原純子アイデンティティーを探れ」、p.55)

海原さんは、大学を自分らしさを見出すためのヒントを得る場と位置付けています。大学そのものが自分探しの旅のようなものであり、大学でいろんな人と触れることで、自分らしさを発見することができるというわけです。

先に引用したのはそのために何をすればいいかということの二つ目です。一つ目は「自分が興味があることを追求してみる」、三つ目は「意見の異なる人と話し合う機会をもつ」となっているのですが、こんな感じで6つの具体的なやり方が書いてあります。

学生生活を考えるときに講義や学業以外のところに注目する人は多いようです。

アインシュタインの言葉に「よい物理学者になりたければ、まず、靴磨きになれ」。けだし名言だと思う。
(生島ヒロシ「寄り道は人生の財産」p.67)

ちなみに、調べてみましたが、この言葉の出所が分かりません。

ここで言いたいのは、学問に没頭する前に、学問以外の社会生活で観察力を身に付けろということのようです。専門だけ勉強していたら気付かないことがある、というのは何となく分かります。それに、専門外の考え方が、専門を掘り下げる時に案外役立つものです。

今日の私は、学生時代とは比べようもない知識と経験を積んでいることは確かである が、それでも今日ある自分をさかのぼっていくと、大学時代の蓄積と経験がどれほど大きな影を落としているかを知るのである。
(井上宏「未完成の山をつくる」p.81)

新しい知識を身に付ける時に重要なのは、それまでに得た知識や考え方です。同じ環境にあっても、既存の知識によって得られるものは違います。

新しいことをしてみようという意欲は、青春時代に打ち込んだ未完成の山から湧いてくるのを感じるのであるから不思議である。
(p.83)

そういわれてみると、私が今悩んだり考えたりしている未解決問題は、高校や大学で持っていた疑問の延長線上にあるような気がします。いや、早く解決しろよ…という話かもしれませんが。

(つづく)


新・学生時代に何を学ぶべきか
講談社 編集
ISBN: 978-4062089722