Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

かがみの孤城

今日の本は辻村深月さんの「かがみの孤城」。今年の冬にアニメ映画化だそうです。

不登校になった中学生たちが鏡の中の世界に入って「鍵」を探すゲームに参加させられる、という話です。鍵を見つけた一人だけが願いをかなえてもらえます。主人公の「こころ」の視点で話は進んでいきますが、登場人物の個性とかがみの世界とは違った実世界の裏側(?)の姿がリアルな感じがして興味深いです。

リアルというのは最近の若い人の脆弱性というか、メンタルの弱さというか、そのような感じもありますが、例えば登場人物の男子、ウレシノが嫌われている理由が、

恋愛至上主義の、こんな男子。みんなから嫌われて、学校にも行けてなくて、当然だ。
(上、p.141)

このような感覚がいまいちよく分かりません。

ウレシノは鏡の世界にいる女子を順に好きになっていくのですが、そこが女子としては嫌、ということのようです。

誰かを好きになって、その相手に拒絶されたら、他の人にターゲットを変更する…というのは仕方ないというか、当たり前のような気もするのですが。ウレシノが女子だったら問題ないのかもしれません。よくわかりません。

後半の謎解きがクライマックスです。最後の1日に大騒ぎするというのが夏休みの宿題みたいで緊張感があります。ストーリーのキーマン(?)となる「オオカミさま」が誰なのか、最後に判明しますが、私には分かりませんでした。ていうか、自分が考えていたのと違っていました。してやられました。

さて、今日の一言。

世の中で決まっているルールには、全部、そうした方がいい理由がきちんとある。
(上、p.17)

最近、ブラック校則でポニーテールが禁止されている理由が「男子がうなじに興奮するから」という報道がありました。校則を決めた人の感覚がおかしいという報道でしたが、一応理由はあるわけです。


かがみの孤城
辻村 深月 著
ポプラ文庫
ISBN: 978-4591169711

かがみの孤城
ISBN: 978-4591169728