今日の本は、「狼と香辛料XVI」です。「太陽の金貨」の後編。
今回はホロが大活躍です。大暴れします。ということはまたしてもロレンスが一歩間違えば死ぬような危機に陥るわけで、きっかけは今回も裏切りです。人間を信用してはいけないのです。では信用できるのは何かというと。
我々は多くの問題を金で解決することができますし、これからはそうすべきなのです。
(p.27)
金ってか。力による解決ではなく金で解決しよう、という話です。金も暴力というような感じはありますが、質が違います。
今回のゲストはヒルデ。兎です。うさみみの少女ならアニメ的でよろしいのですが、イラストを見た限りでは、本当に兎です。うさぎさんに話しかけられても動じないのがロレンスのいい所です。ヒルデはデバウ商会が内部分裂しているので助けてくれといいますが、ロレンスは結局、逃げることを提案します。これに対して、
生き延びるためだけに生き延びることがどれほど辛いことか、私は知っているつもりです。何事もなさない時間はなかったのと同じです。
(p.99)
まあそうなんですが、かといって、勝負して全て失うのも何かちょっと違うような気がしますね。
今回の大きなテーマは、武力によってではなく商業によってうまく回る社会は成立するか、ということです。現代の世界が武力と経済の板挟みになっているところを考えると、なかなか深い話ですが、
人が持てる剣の大きさには限りがある。だが、商人が紙に書ける金額は限りがない。
(p.118)
インフレになりそうな気もしますが、金は剣よりも強し、といいたいわけですね。まあ金があったら剣は買えるわけです。
後半に出てくるゲストはミリケ、あるいはハビリシ。2つ名を持っている男で、しかも人ではない血が混じっているようです。ロレンスとヒルデはミリケに助けを求めるのですが、ミリケはお前たちを手助けする価値はあるのかと問います。
商人が領主の代わりに世を統べて、うまく回るという保証はどこにあるのだ?
(p.295)
こんな疑問をぶつけてきます。ロレンスはこう答えます。
「商人は商いをし、商いの基本は利益を得ることです。そして、商いの利益とは誰かを喜ばせて得るものだからです」
(p.295)
Win-Win の関係になれるというのですね。裏切るという技があるせいで、世の中そう甘くはないと思いますが。
今日の一言は、
馬鹿げた夢を見るのはいつも力のない者だ。
(p.290)
特権みたいなものですね。力のある者は手堅い夢を見るのです。