Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

狼と香辛料XIIISide ColorsIII

今日の本は、「狼と香辛料XIIISide ColorsIII」です。

「狼と桃のはちみつ漬け」「狼と夕暮れ色の贈り物」「狼と銀色のため息」「羊飼いと黒い騎士」の4つの短編が入っています。最初の3編はホロとロレンスの物語。最後の話は羊飼いだったノーラと番犬のエネクの後日譚。ノーラは羊飼いを引退して服の仕立て職人に転職しようとするのですが、なぜか助司祭になってしまう所で話が終わっています。

「狼と桃のはちみつ漬け」は、ホロが本編で異様に欲しがっている「桃のはちみつ漬け」を買うために、ロレンスが荷物運びの仕事で小銭を稼ぐ話。野犬が出る道を、ホロとロレンスが馬車に食料を積んで運びます。普通は食べ物に野犬が寄ってくるのですが、ホロがいれば野犬は近付きません。むしろホロが荷物を食ってしまわないか心配です。

「狼と夕暮れ色の贈り物」は、ホロの鼻で偽物の薬草を嗅ぎ分けるシーンが面白い。狼は犬と同様に鼻が利くのです。

「羊飼いと黒い騎士」でノーラとエネクが向かうのは、

疫病で人口の半分が死んじゃった町
(p.162)

そこに向かう途中で盗賊に襲われていた司祭、ジョゼッペと合流します。疫病が流行った町に向かうのはとても危険なことなのですが、

危険に立ち向かうためには夢が必要です。
(p.180)

リスクを飲み込まないと夢は叶わない。

今日の一言は、ロレンスの心情。

嫌なことや辛いこともあったが、いざその心配がなくなるとちょっと寂しい気すらしてくるから人間というのは身勝手だ。
(p.95)

冒険者が平穏な日常に戻ったときに何か生き甲斐がないような感じになる、というのはよくあることのようです。


狼と香辛料XIIISide ColorsIII
支倉 凍砂 著
文倉 十 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048681407