今日の本は、「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編」です。
ややこしい1年生が入ってきます。この種の物語はどんどん相手を強くしていかないと話が続かなくなるので、まあ当然の流れかもしれません。
今回の特別試験は、1年生と2年生がパートナーを組んで試験を受けた得点合計が500点を超えないと2年は退学になってしまう、というルールです。
1年生の中に刺客が送り込まれているはずなので、綾小路は刺客とパートナーを組んでしまったら、意図的に0点を取られて退学になって物語が終わってしまう、というリスクが(笑)。綾小路にとって、この試験は刺客を当てる試験でもあるわけです。
1年生とペアになった状態で評価するのは、学年の中でクラス同士競うという最初の話と違うんじゃないか、という疑問に対して、
分かりやすく言うなら飛び級などもその1つ。アメリカやイギリス、ドイツなどでは当たり前のように行われている制度だ。
(p.42)
ま、違う世代とのコミュニケーションも重要、というありきたりのゴマカシで納得させられてしまいます。真実は単に綾小路を退学させるための罠に過ぎないのですが。
綾小路と堀北がいるクラスはDに降格、となると、1年生はなかなかペアを組んでくれません。Dクラスは成績が悪いために、あまり組むメリットがない。そこで評価の低いDクラス同士で組むのが妥当、ということになりますが、1年Dクラスに曲者がいます。龍園よりもケンカ上等という宝泉。酒の名前みたいですが。まあ不良っぽいです。この宝泉と一緒に行動している女子が七瀬。宝泉のアドバイザーみたいな立ち位置ですが、宝泉も一目置いている感じです。ということは、宝泉も腕力だけのバカではないということになります。
七瀬は既に2年生からパートナーを申し込まれているというのですが、まだ返事をしていません。なぜ保留にするのか綾小路が訊ねると回答を拒否されます。七瀬は答えられないことを謝るのですが、
聞かれたくないことは答えなくて正解だ。
(p.142)
そりゃそうだ。綾小路は答えないということに意味があると解釈したようです。相変わらず思考スピードが速い綾小路を、堀北も絶賛し始めます。堀北は兄と決別してちょっと変わりましたが、逆に個人的には面白さも減ったような気が。
言われてみれば当たり前のことでも、最初にそこまで考えが回るかどうかは話が別よ。
(p.178)
綾小路が計算ずくで行動していることに驚いているのですが、読者としては内面的な描写とか読めるので、案外バカなことをしている所もバレています。ただ、そうなってもokのように、バッファを取った行動はしているようですが。ちなみに、綾小路からの堀北の評価は、
空回りは怖いがやる気があるのは良いことだ。
(p.214)
これは堀北が高円寺を戦力としてカウントしようとした時の評価。綾小路は高円寺はコントロールできないと見切って最初から戦力外にしています。計画には参加させないということです。堀北は何とかして高円寺を使いたいわけです。
今日の一言は、教訓ではないですがコレで。
中学時代の『基礎』をキチンと学べていないから、高校での授業に苦労している。
(p.232)
綾小路が恵に勉強を教えるシーンです。この2人、一応付き合ってることになってるんですよね。だったら普通に勉強を教える場面じゃないような気もしますが。
ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編1
衣笠彰梧 著
トモセ シュンサク イラスト
MF文庫J
ISBN: 978-4040643298