Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

ようこそ実力至上主義の教室へ9

今日の本は「ようこそ実力至上主義の教室へ9」です。季節はバレンタインなのでチョコレート話も出てきます。

軽井沢の抱えているトラブルは龍園を潰した時点で一応の解決を見たため、軽井沢が平田とカップルを続ける理由は消滅しています。そこで二人がフリーになった途端、女子に人気のある平田の争奪戦が始まります。この学校の生徒にそんなことをしている余裕があるのか、というと、

「明日の保証がないからこそ、今を全力で楽しんでいるのかもしれないだろ」
(p.36)

刹那主義というのもありますね。仕事が忙しい人ほど chat に出てくるという説もあります。ストレスが原因のようです。

しかし、今回のメインのシナリオはバレンタインではなく、Aクラスの坂柳がBクラスの一ノ瀬を潰しにかかるというもの。

7巻のようなガチの殴り合いではなく、手は出さない情報戦です。噂を流す側と無視する側のメンタルの戦いです。これに一ノ瀬はなかなか乗ってきません。

Bクラスをかき乱すための坂柳さんの戦略。その唯一の攻略法は、沈黙にあると思ってるから
(p.88)

炎上に対する攻略は無視という説もありますね。

一ノ瀬が乗ってこないため被害者からの相談がない学校としては対応できない。悪い噂が流れているだけでは動く理由がない。そこで綾小路はさらに噂を上乗せして学校を動かすという作戦を実行します。その時に使うのが、学校が用意した掲示板。

生徒たちが自由に利用できる掲示板がある。ただし携帯には様々な使いやすいチャットアプリがあるため、99%利用されていない

ありがちな話です。使い勝手以前に、学校の用意している掲示板なんて監視されているに決まっているので書き辛いでしょう。

今回流される噂は「一ノ瀬は犯罪者」というものですが、

「犯罪者だからって悪人とは言えないし、犯罪者じゃないから善人だとは言えない」
(p.108)

悪人を定義する必要はあると思いますが、後半は特にその通りですね。

本巻の終盤で坂柳は綾小路に勝負を挑みます。次の試験の順位が上の方が勝ち。坂柳は負けたら退学、勝ったらCクラスの黒幕が綾小路であることを公表する、というもので、後の話の予告編(笑)です。

今回、綾小路は櫛田と取引をして情報を聞き出していますが、櫛田いわく、

表面上はニコニコして仲良くしても、裏じゃ皆誰かを嫌ってる。罵り合ってる。それが普通。
(p.239)

女子はそういうものだと言うのですが、リアルの世界はどうなのでしょうか。


ようこそ実力至上主義の教室へ9
衣笠彰梧
トモセ シュンサク イラスト
MF文庫J
ISBN: 978-4040651576