Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

ようこそ実力至上主義の教室へ4

今日の本は「ようこそ実力至上主義の教室へ4」です。

今回も特別試験ですが、ちょっとルールが分かりにくいです。

A~Dの4クラスから各3~4名が参加して十数名のグループを作ります。この中に一人だけ優待者がいて、それが誰かを当てる、というのがミッション。推理に使える時間は4日間。その後、解答タイムになって、誰が優待者かを全員がメールで解答します。

と説明してみると簡単な気がしてきますが、いろいろ端折っています。というのはサラっと流しておいて、まず、解答タイムの結果が2通りあります。

結果1・グループ内で優待者及び優待者の所属するクラスメイトを除く全員の解答が正解していた場合、グループ全員にプライベートポイントを支給する。
(p.54)

プライベートポイントというのは、この学園内の施設で使える電子マネー。1ポイントは1円に相当します。結果1は要するに全員正解した場合です。優待者には100万プライベートポイント、それ以外の生徒全員に50万プライベートポイントが支給されます。50万円相当ですから、結構デカいです。

結果2・優待者及び所属するクラスメイトを除く全員の答えで、一人でも未回答や不正解があった場合、優待者には50万プライベートポイントを支給する。
(p.54)

結果2は優待者を当てられない生徒がいた場合です。優待者だけが50万プライベートポイントをもらえて、他の生徒は何ももらえません。

問題はこの先です。

この特別試験は、解答タイム前に優待者が誰なのかを抜け駆けでメールで解答することができます。それが当たった場合が結果3で、抜け駆けした正解者にはプライベートポイントを50万ポイント支給されます。さらに、正解者のクラスにはクラスポイントが50ポイント支給されます。優待者を見抜かれたクラスはマイナス50クラスポイントのペナルティを受けます。

クラスポイントというのは各クラスに与えられたポイントで、各クラスを総合的に評価した得点です。生徒には毎月、クラスポイントの100倍のプライベートポイントが支給されます。入学時のクラスポイントは1000ですが、これがクラスの評価で変動して毎月の支給額も変化するわけです。

クラスポイントが50増えると、毎月の支給ポイントが5000増えます。結果は正解したグループ以外の生徒にも適用されるので、地味に大きいです。ということは、優待者が誰なのか分かった時点で抜け駆けすれば、自分のクラスに貢献できるわけです。さらに、優待者のいるクラスのクラスポイントは減らせるので、クラス間の競争としても有利ということになります。

では抜け駆けして外したらどうなるか。というのが結果4で、優待者以外のクラスの人が試験途中で優待者を外した場合。優待者にはプライベートポイントを50万ポイント、優待者のクラスにはクラスポイントが50ポイント支給されます。間違えた生徒のクラスはマイナス50クラスポイントのペナルティを受けます。当てたときの逆ですね。

結果3と結果4は一発勝負で、最初に解答した人が当てても外しても、そこで試験終了となります。ということで今回も勝手に動くのが高円寺。

嘘つきを見つける簡単なクイズさ
(p.153)

相談もしないでいきなり優待者をメール送信して、初日に参加グループの試験を終わらせてしまいます。

理想としては全員が50万ポイントもらえる結果1を狙いたいのですが、解答タイム以前に優待者がバレたら裏切られて結果3を狙う人が出てくるかもしれない、ていうか絶対に出る。ということで優待者をいかに伏せておくかというバトルになるわけです。

今回は龍園の存在感が相変わらずデカいのと、軽井沢さんの過去が暴かれるという展開もあって、この後のストーリーへの伏線満載という重要な回になっています。

ということで、今日の一言は、一言じゃないのですが。

「人間を見る時、人はまず外見から情報を得る。(略)そして次に、会話や行動でその人間の内面を量ろうとする。(略)
「だがそれも外見と同じ表面的なものでしかない。本当の考え方なんてものはすぐに見えてこない。」
(p.166)

面接した程度では人は判断できない、ってことですね。


ようこそ実力至上主義の教室へ4
衣笠彰梧
トモセ シュンサク イラスト
MF文庫J
ISBN: 978-4040683386