Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン

今日の本は「ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン」。ゴブリンスレイヤーが新人冒険者になった頃の話です。

グダグダになる初戦とか、キツい戦いが出てきます。鉱山で大百足を退治する話には、若い頃(?)の重戦士、女騎士、槍使い、魔女など出てきます。本編のキャラがどのように出会って今に至ったかが分かって、成程、そうだったのか的な面白さがあります。

ゴブリンスレイヤーは最初の冒険に出る前に、武器と防具を買いに行きます。この時、買い物に来た他の新人に対して、老人の工房の親方がいう言葉。

どんなに装備を整えても死ぬ時は死ぬのだから、好きな格好でやらせてやるべきではないか。他人にあれこれ口出され、自分の意志を無視された装備で戦って死ぬのでは、無残の一言だ。
(p.50)

死ぬ前提になっていますが(笑)、新人は経験が足りないため、実戦には向かない武器を望んだり、必要なものを買わなかったり、アドバイスしたくもなるものですが、でも本人の意志は尊重すべきだろう、そういうことです。この後ゴブリンスレイヤーが店に入ってきて、やけに実戦的な装備を欲しがるという流れになっています。親方がこの時、兜をすすめますが、これで命拾いして、いつも兜をかぶったキャラになってしまうわけですね。

ゴブリンスレイヤーは人間ですが、物語では只人(ヒューム)という表現が使われています。

臭気に慣れるには努めて鼻で呼吸をすれば良い。只人(ヒューム)の感覚は都合が良くできている。
(p.68)

人間の感覚は相対的なので、同じ臭気がずっと続くと慣れて感じなくなっていきます。他の種族も同様のようではありますが。最近は臭いがあれば消す、菌がいたら除菌する、クリーンにすれば解決と思いがちですが、環境に慣れるというソリューションもあるのです。

本編でもそうですが、外伝にも教訓的な言葉が結構たくさん出てきます。この巻はむしろ少ない方かもしれません。いくつか紹介してみます。

苦労せずに成長する者などいない。
(p.91)

成長するためには、まず欠点を自覚しないといけません。新しいスキルを身に付けるだけではなく、欠点に対応していくことが成長には必須です。

殺せば、殺されない。それが真理だ。
(p.102)

先手必勝。

きちんと金を払ってくれる相手というのは、それだけで信用されるものだ。
(p.187)

結局のところ人じゃなくて金を信用しているような気もしますが、それもある意味、信用。

とりあえず目の前の事だけやれ。先の事、気にしてる余裕なんざねえだろが。
(p.197)

先の事が心配で受験勉強できない、というのは知恵袋のFAQのようです。


ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン
蝸牛 くも 著
足立 慎吾 イラスト
GA文庫
ISBN: 978-4797390414