Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

万葉恋ばな-春夏秋冬 (5分後の隣のシリーズ)

今日の本は「万葉恋ばな-春夏秋冬」。

万葉集から20の歌を紹介し、それと同じテーマで現代の恋バナ、ショートストーリーとイラストが掲載されている、という形式です。ターゲットとして想定する読者は女子中学生あたりでしょうか。よく分かりません(笑)。

面白いのは、さらに各歌に QR コードが付いていて、そのリンク先には歌に関連付けた音楽が登録されている、という趣向。音楽は今風の打ち込み系POPというのかな、まだ一部しか聴いてませんが。

歌とかストーリーとかと全然関係ないですが、関係ないところで一つ興味があったところを。本当に全然関係ない話ですが。

はなはだも 夜更けてな行き
道の辺の ゆ笹の上に 霜の降る夜を
(p.272)

作者不明。気になったというのは「な行き」という表現です。これは古語で「行くな」という意味になるのですが、な・行きが not go という感じになります。

現代日本語は、否定するときに文末に「ない」を付けて「いかない」のように表現するのですが、英語は not go のように否定が動詞の前に来ます。「な行き」はこの英語と同じで否定の「な」が「行く」に先行するのですが、このような考え方が昔の日本にはあって、今は消えてしまったというのが面白い。言語学的にはどういう解釈をしているのでしょうか。

 

万葉恋ばな-春夏秋冬 (5分後の隣のシリーズ)
みずのまい 著
学研プラス
ISBN: 978-4052054105