Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

はたらく魔王さま! (17)

今日は「はたらく魔王さま!」の17巻です。

この巻のあらすじは、真奥が正社員採用試験に落ちて、店長の木崎が異動の準備を始める、といったところ。木崎が真奥に説教するシーンがあるのですが、

二十代前半は、十分焦るべき時期だ。
(p.152)

人生設計の山場ということですが、木崎は真奥の真の年齢を知らないので人間の寿命で設計してしまうのは仕方ありません。人間の世界、ていうか日本では22、25、29歳がマイルストーンということになっているようです。

私は就職ではあまり苦労しなかったのでピンと来ないのですが、

就職活動の恐ろしさは、高校受験や大学受験とは違ったところにあるんだ。
(p.153)

とても深い意味がありそうです。木崎さんがマグロナルドの内定をもらったらすぐに入社を決めて、そして店長となるまでキャリアを積んだ上で、異動の後は、

まーくん、猿江。私は三年後、君達を雇いたいんだ。
(p.176)

3年後には独立することを考えています。先のセリフはヘッドハンティング予告ということで、3人が飲んでいる時に出てくるのですが、真奥はやり手のスタッフ、猿江ことサリエルはライバル店の店長ですから、どちらも即戦力というわけです。相手が悪魔とか天使とか知らないのは幸いです。

この後の真奥と猿江のやりとりはビジネス書に出てくるような話で、ラノベでこういうのは読者がついていけるのか。

経営は、まず自分の手札を冷静に確認するところから始めねばならんのさ
(略)
金融機関からの借り入れ金と担保。開業時の自己資本比率。融資の返済計画。当面の運転資金。現金フロー。売り上げ目標。細かいことを言うとまだまだあるが、新規店舗事業というのはこういうことを厳密に計算してから始めるものなのだよ。
(p.198)

魔王という地位ならこの種の雑事は側近に丸投げしそうですな。実際、アパート生活の経理はほぼ芦屋に丸投げですよね。

木崎の言葉をもう一つ。

真面目に仕事をする人間は多い。だが、仕事を本心から好きでいて、常に向上心を傍らに抱えて仕事ができる人間は、そう多くはない。
(p.201)

真面目なだけでは出世はそうそうできないということでしょうか。

今日の一言。

好みとは無意識に覚え、自分一人で確信するものだ。
(p.205)


はたらく魔王さま! (17)
和ヶ原 聡司 著
029 ラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048928922