Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

わが家は祇園の拝み屋さん6 花の知らせと小鈴の落雁

今日の本は「わが家は祇園の拝み屋さん」の第6巻、「花の知らせと子鈴の落雁」です。

ストーリーとしては、澪人が審神者(さにわ)という上級職に大抜擢されて、人手が足りないために小春と学校のメンバーをチームにして一仕事しよう、という感じです。一仕事といっても京都の結界を修復するという大事業で簡単ではないのですが、メインストーリーはおいといて余談にいきますと、この作品、宗次郎がいいことをいう役というか、悟った感じの立ち位置になっています。

先のことが分かんねえ時は、とりあえず今目の前にある自分のやるべきことを一生懸命にするのが一番だと思うぞ
(p.23)

宗次郎の言葉。将来のことは分からないという今時の若者のFAQに対する回答になっています。迷うのならやれることをやれ。いい言葉です。できる範囲で、と付け加えると急激にランクが落ちますが。

お菓子はどんな形であろうとも、食ってもらって、美味しいと思ってもらってこそだ
(p.86)

これも宗次郎のセリフ。サクラソウ飴細工が綺麗すぎて食べられないという話。デコレーションが見事すぎてケーキを食べるのがもったいない、というのはアルアルですね。

自分をよく知ることで、世の中が明るく見えるし、人生も楽しくなる。
(p.99)

世の中を見るのは「自分」ですから、そこが変化すると世の中の見え方も変わります。「楽しい」という感情は自分の脳内の判断で100%決まりますから、環境がどうであれ、自分が楽しいと思えば楽しいし、楽しくないと思えは楽しくない。つまり環境に決定権はないんですよね。このあたり理解していないと strong AI の開発に失敗しそうです。

美味しいものは心を救う
(p.172)

和菓子職人らしい宗次郎の言葉です。アニメ「魔王様、リトライ!」の中に、苺のタルトを食べて「口の中が幸せになりますね」というセリフが出てくるシーンがありますが、それを思い出しました。


わが家は祇園の拝み屋さん6 花の知らせと小鈴の落雁
望月 麻衣 著
角川文庫
ISBN: 978-4041053959