今日の本は望月麻衣さんの「我が家は祇園の拝み屋さん」。
舞台は祇園ということで京都。ストーリーは能力系です。主人公の小春は他人の考えていることが分かってしまうテレパス系。便利だと思うかもしれませんが、例えば友達が「すごいよ」とほめながら、
――こいつ、マジで死ねばいいのに!
(p.208)
と思っていることまで分かってしまうという、超絶ストレス増加スキルなのです。これが原因で小春は不登校になってしまいます。親は不登校になった原因を、
あの学校には裏サイトという悪質な掲示板があって
(p.213)
そのせいだと誤解するのですが、裏サイトって本音とはちょっと違うような気もします。
タイトルに出てくる拝み屋というのは、小春のお祖母ちゃんの吉乃さんのこと。お祓いをしたり、お守りを作ったりします。小春の能力は家系なのです。
怪異譚がいろいろ出てきますが、この説。
恨みを残して息絶えた女性のすぐ側に、人間に苛め抜かれて死にかけた犬がいたという悲しい偶然が重なった
(p.106)
先日紹介した「モノノ怪」というアニメの化け猫編に出てくる化け猫が、同じような経緯で生まれていました。恨みを持った人間と動物が合体するパターンは有名なのでしょうか。
という感じで、とりあえずよかった一言を。
ええことしたあとは、ええことがまわってくる。その逆も然りやで。すべてちゃんと返ってくるもんや。しかも大きなって返ってくる。
(p.225)
この作品、京都弁がところどころ出てきます、関西出身なので親近感がありますが、「すべて」という表現はあまり関西では使わないような気もします。
わが家は祇園の拝み屋さん
望月 麻衣 著
角川文庫
ISBN: 978-4041037966